■住まいの話題[1]:身の丈に合わせた住まいづくり
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家は人生の中で最も高価な買い物と言えるでしょう。その分夢も膨らみ、あれもこれもと詰め込みぎみになって、生活の器として使いこなしているかしらと思えるケースを見かけます。要求する部屋を単純に足し算してジグソーパズルのような家だったり、建材や家電のカタログ見本市のような家だったりします。

ここで紹介するのは実際に建っている家ではありません。ローコストでコンパクトな木造の提案住宅です。私の住まいに対するメッセージを形にしてみました。二十代の夫婦が初めてもつマイホームを想定しています。そのエッセンスを説明したいと思います。
増改築で家も成長する
家は竣工した時が住まいづくりの始まりであると考えて見て下さい。はじめから大きい家は必要でしょうか。必要最小限でコンパクトにして、必要に応じて増改築することにすれば、住宅を取得する時の負担を軽くする事も出来ます。といっても、場当たり的に増改築をすれば、かえって使いづらくなったり、構造的にも不安定になることがあります。

そこで、予め増改築を想定して間取りを考えてあります。子供が産まれ、その成長に合わせて、吹抜け部分に床をはって増築します。シンプルな木造の構造ですから、大工さんと住まい手が共同で増築工事が可能です。
模型写真/ステージ1
模型写真/ステージ1
平面・断面スケッチ
平面・断面スケッチ
オープンプランニング
提案住宅のプランは、日本の民家の典型でもある、田の字プランを基本にしています。なるべく間仕切壁を少なくして建具で仕切り、空間の連続性・可変性を大事にしました。1階の「外土間と内土間」「縁台と居間」は、仕切りの建具を開放すれば、外と内の境界が曖昧になり、一体で使うこともできます。
素材を生かす
日本の古い民家に入ると、何故か落ち着いた気持になりませんか。提案住宅にも木の柱や床板、漆喰壁など、永い年月を経て古美る(ふるびる)自然の素材を使っています。シックハウス問題を機に自然素材の見直しが言われています。しかし、自然素材はメンテナンスフリーではありませんから、適当に手を掛けてやる必要があります。自然素材を生かすことは、実はこのメンテナンスが重要な鍵となります。
モノから離れて、本音で住まい方を考える
今、日本には住宅展示場や、カタログ、雑誌など、モノやハードの情報源はたくさんありますが、そのモノやハードを使いこなす「ソフト」が不足しているように思います。家族が集い、くつろぎの場である居間を想像してみて下さい。

そこには多くの場合、ソファーの3点セットが置かれています。でもソファーには腰掛けずにそれを背もたれにして、床に座ってはいませんか。勿論、椅子の良さを否定するつもりはありませんが、日本人の多くの人は、椅子座より床座の生活の方に居心地の良さを感じているのが本音かも知れませんね。

われわれは、いつごろからか本音で住むことを忘れ、どこか借り物のような住まい方に自分を合わせてきたように思います。自分にとって「居心地の良さ」を本音で考えることが、住まい方の原点を取り戻すことにつながるのではないでしょうか。
住まいの話題[1]執筆者
■瀬川 康秀(せがわ やすひで)/一級建築士事務所 アーキショップ 代表

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