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家づくりとは、社会との関係の中で個人や家族のための生活の場・空間を創ることだと思います。言葉にすると簡単ですが、我々の生活には多様な要素が含まれており、与条件として整理するだけでも大変な作業となります。また、個人・家族によっても生活習慣・スタイル・生活のイメージ等は、それぞれ異なるといってよいほどの多様性があります。
「住まい」には定型といったものは無いといって良いと思います。しかも、一般的に言って住まいを建設しようとして、初めて自分の生活を考えてみるという方がほとんどですので、通常は漠然としたイメージしか持っていません。従って、家づくりには建築主の考えを意識化する作業が最初の重要なステップとなります。
これは建築家との打ち合わせの中で行えばよいのですが、お互いに充分な意志の疎通を図ることが重要です。その過程で建築主の要望に対して、建築家からいろいろなアイデアや新しい発想による提案が提示されます。その中には、建築主には思いもよらなかった発想も出てくることでしょう。こうしたやりとりの中から、自分たちの生活空間が創造されていき、自分たちの本来の「住まい」のあり方を発見することができれば、建築家の存在も意味のあるものとなります。
住まい」の中心は一般的にいって居間と考えて良いでしょう。家族の集まる団らんの場所であり、別に応接間がない限り接客の場でもあり、人によっては音楽を聴く場であったり、居間の一部が寝室になっているとかいろいろな使われ方をしていることでしょう。また、最も「住まい」のイメージが直接伝わってくる空間でもあります。
以上のことをふまえて、ここでは実際の例を見ながら話しを進めたいと思います。 |
| 内と外を一体化したテラス |
| 郊外に建つ住宅で、約60坪と比較的恵まれた敷地です。建築主との話し合いの中で、内部と庭との空間的連続性を実現したいということになり、居間及び食事室を庭に向けて開放的な構成とし、中間に大きく屋根の掛かった広いテラスを設けた例です。テラスと居間とのレベル差もほとんどなくしました。このテラスは居間の延長であり庭の一部でもあるように構成されています。(写真1) |
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| 写真1:居間からテラスを見る |
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| 写真2:庭からテラスと居間を見る |
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居間とテラスは大きなガラス面で視覚的に連続し、庭とテラスの境界には屋根を支える柱や意匠的にデザインされた筋違があって、開放的ではあるがそれぞれの場をあいまいに区切っています。2階の諸室からもテラスが望め、「住まい」全体の中心的な空間となっています。このようにして、居間−テラス−庭の空間がお互いに重なり合いながら連続的につながっています。(写真2)
また、この空間的つながりが無限定的に拡散していかないようにするためと、プライバシーを守るため、庭の周囲には目線を遮るぎりぎりの高さの塀を巡らしてあります。
気候の良い時期には、テラスで食事をしたり日光浴をしたりしています。人数の多いパーティを開いた折りには、集まった人々は居間や食堂、テラスや庭と自由に動き回っていました。
上の例は、まさに建築主との対話の中から生まれてきた空間です。居間を例に話を進めてきましたが、外観の構成や全体のプランニング等、全ての部分も同様に多様なあり方が考えられます。こうした建築主と建築家の共同作業の中から、自分たち家族の「住まい」の発見を期待したいと思います。 |
住まいの話題[3]執筆者
■藤川 豊(ふじかわ ゆたか)/(株) アトリエ71藤川建築設計事務所 所長 |