納得のいく「くらしの器」を造るためには、建て主・設計士・造り手という三者の役割がはっきりと見えなくてはならないと考えます。それにはまず、相手の顔が見えることです。顔が見えると、互いの意思疎通ができるものです。
特に、造り手にとっては建て主の顔を知ることで存分に力が発揮できます。一方、建て主は造り手の顔を知ることで安心感が湧いてきます。それと、将来に渡って、設計者とともに完成した家を見続けてもらうためにも良い事です。
造り手である職人たちは、職種の違うもの同士が技術を競い合いながら、心意気で建物の完成を目指していきます。しかも、建て主は彼らの技術を工事費の名目で支払っています。そこには、金銭授受のみの関係だけでなく、手と手を差し伸べることで、感謝の意を尽くす事も必要になります。建て主の熱意さえあれば、職人は強い助っ人となるものです。
このように、家造り関係者が互いに相手を思いやる自覚があってこそ、始めて、良い「くらしの器」が造られていくのだと考えています。