■住まいの話題[25]:住まいは十の箱づくりから
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私は長い間住まいづくりに係わってきました。最近ようやく、自分の中で住まいについての考えが整理されてきました。それが次に掲げます「十の箱づくり」です。
1. 定住の箱づくり
新しい住まいをつくり、定住することで、もう一回人生がやり直せるかも知れません。いままでの仕事中心から家庭中心の生活に移行すれば、それはきっと可能なはずです。
2.やすらぎの箱づくり
私達の住まいは、何重もの囲いで出来ています。塀で囲われ、庭で囲われ、家で囲われ、部屋で囲われています。私達は、その内側に自分をすっぽり納め、安らぐのです。
3.家族の箱づくり
親子喧嘩なども、開放的な家ですと、互いに見たり見られたりしているうちに、どうでもよくなってしまいます。そういう五感で感じる家族コミュニケーションが大切です。
4.同居人の箱づくり
おじいさんやおばあさんなどが同居していますと、異なる意見の共生、昔からの賢い智恵の継承、また、生命時間の実体験という貴重な体験の機会にもなります。
5.暮らしの箱づくり
家の中には、いろんな働きをする部屋があります。人を結びつける部屋(例えば廊下)、人が集まる部屋(例えば居間)、自分自身になれる部屋(例えば寝室)などです。
十の箱(1〜5)
十の箱(6〜10)
6.人付き合いの箱づくり
近所の人達が立ち寄りやすいためには、仰々しい門は不必要ですね。塀も、低い生垣でどうですか。また、庭は玄関脇から直接出入り出来て、そこに縁側などあるといいですね。
7.仕事の箱づくり
家に仕事が出来る場所を作りましょう。居間や食堂の片隅でも、子供が勉強する場所で肩を並べるのも、良いでしょう。書斎は子供達にも見えるように少しオープンな作りに。
8.季節の箱づくり
季節を演出する装置はいっぱいあります。昔は縁側、土間、坪庭、物干し台、縁台など。最近では木製デッキ、バルコニー、屋上庭園、サンルーム、コンサバトリー、温室など。
9.成長する箱づくり
子供から大人へ、そして老人へと過ぎゆく日々の生活。家は住み手の生活に合わせて変化し、はじめの「統一の良さ」は、改造されて「不統一の良さ」へと移行して行きます。
10.思い出の箱づくり
家は時間の入れ箱です。暮らしのなかの出来事が空間とセットになり、思い出空間として記憶に定着します。子供達に場所の記憶が残る住まいづくりを積極的に行いましょう。
住まいの話題[25]執筆者
■根岸 俊雄(ねぎし としお)/(株)根岸俊雄都市建築事務所

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