■住まいの話題[27]:二世帯住宅のススメ
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住宅の重要性

人間はどのように形成(成育)されていくのであろうか。勿論、持って生まれた資質もあるが、生まれてからの環境が非常に大きく影響するような気がしてならない。子供には、成長していく過程の中で様々な環境がある。学校、友人、地域社会など。しかし最も大きな要素は家庭環境であろう。家族との共同生活の中で、時に喜び、怒り、哀しみ、生活を楽しむ。そのようなことが大きな愛情の中で日々行われる生活こそが、子供にとって最も重要なのである。そして、その場を包み込むものが住宅というものであろう。

僕が設計をした実例であるが、施主が住んでいた以前の住宅は、プライバシーのためカーテンをいつも閉めきり、暗くじめじめした感じでお客様を通せる部屋がなかった。提案した設計には、明るいリビング、その南側にプライバシーを確保した外部テラスがあった。竣工後、生活を始めた施主から、来客も増え、時々バーベキューパーティを開き、日曜日には家族で朝食をテラスで取ったりと、毎日が楽しく賑やかになり、家庭が明るくなったと礼を言われたことがある。建築家として、ライフスタイルまで影響を与えることが出来て、これ以上の嬉しい言葉はない。その意味で、生活の場を与える住宅も子供達の成長にとって重要であろう。

おばあちゃんがそばに居る
核家族という言葉が生まれて何年経ったであろうか。最近の社会問題として、家庭内暴力とか、赤ちゃんを車に放置して死なせてしまったとか、果てには育児ノイローゼから虐待して殺してしまうとか、悲惨な事件が多く見られる。もしもおばあちゃんがそばに居れば、子育ての助けになっただろうし、長い経験から良いアドバイスも受けられ、ノイローゼになることも避けられたかもしれない。
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最左翼に属する二世帯住宅例 無数のスタイル 最右翼に属する二世帯住宅例
戦後の復興期までは、日本家庭のほとんどは親と同居していたはずである。高度成長期に入り、大都市集中の経済システムの中、物質だけは豊かになる状況で別居形態が増え、核家族という言葉が生まれた。しかし今、高度成長にも陰りが見え、21世紀を迎えて新しい人生のあり方が問われている。家族のあり方、家庭のあり方も問い直されねばならない時期であろう。そこで僕は、生活の知恵をいっぱい持っているおばあちゃん達との二世帯住宅を推奨したい。
多様なるスタイル

二世帯住宅といっても様々なスタイルがある。子世帯がお婿さんかお嫁さんかでも違うし、十組の親子があれば、十組の考え方があるといっても過言ではない。そこには微妙なニュアンスの差がある。

スタイルとしては、同じ敷地にスープの冷めない距離に別棟で二棟を建てるスタイルを最左翼とすれば、最右翼は二世帯間で自由に行き来が出来る、ほとんど同居に近いスタイルの二世帯住宅もある。この両極の間に無数のスタイルが存在しうる。二世帯住宅を設計するときに一番大切なことは、その二つの家族がどのような関係で、何を望み、どうすれば楽しく生活できるのか、それぞれの家族に一番あったスタイルは何かを模索することである。僕はそこに最も重きを置いている。

おじいちゃんの古時計
日本には、独特の古き良き伝統がたくさんあったはずである。古い諺や言い伝え、おばあちゃんの素晴らしい生活の知恵など、良き伝統や風習は後世に代々伝えたいものである。それが文化の厚み・重みではないだろうか。そういうものを子や孫に伝えていく場を持ちえる二世帯住宅こそ、今後ますます増えていくべきである。おじいさんの大きなのっぽの古時計を見て育った子供は幸せである。
住まいの話題[27]執筆者
■篠原 宏幸(しのはら ひろゆき)/(株)篠原宏幸建築設計研究所

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