■住まいの話題[31]:建物の再生と現代の民家について
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伝統的な建物の再生

昔(江戸時代)の建物は、釘などの金物をなるべく使わないようにして建てられていました。その理由は、釘などの値段が高かったからです。昔の釘は鍛冶屋さんによって1本ずつ作られていたため、高いのも無理はありません。しかしそのおかげで、大工さんは技術を発展させていきました。そのような伝統的な建物は、大工さんの熱意と工夫がこめられており、2代、3代に渡って持ち主によって大事に使われていました。

私は古い建物の調査をする機会が度々あり、100年以上経っている木造住宅を見させて頂いております。その経験から申し上げますと、木造の弱点は足下廻りで、そのメンテナンスさえすれば、長い期間、雨風にも負けない、耐久性があります。木造の建物は1000年以上建っているものもあり、長い歴史があります。しかし、コンクリートの建物で150年以上の歴史を持っているものはほとんどありません。

いろいろな知恵と工夫が隠されている伝統的な木造建物は、戦前の昭和初期までその技術を発展させ、造られ続けておりました。その建物を現代の生活にあわせて「修理・再生」することは、現代の大工さんにとって、非常に勉強になると同時に、ひいては文化の継承にもつながっていきます。

再生した民家:座敷の大黒柱を見る
再生した民家:小屋裏(子供室として使用)を見る
現在の建物について

戦後の高度成長期にローン(25年のローン)で建てられた多くの住宅は、ローンの払いが終わった頃には、建物が古くなり、そのために再度ローンを組み新しく建て直してきました。いわゆる、スクラップ&ビルドで建設されていたわけです。

だが、建て替えによって生じる廃材の問題から、現在では住宅も使い捨てではなく、長寿命化が求められてきました。建物の耐久要件が整うと、ローンの期間も35年に延長されます。しかし、建物の耐久性を増して造られているといっても、寿命は50年程度(ローンは35年)と考えられているのではないでしょうか。

これからの建物は、構造材を現在の建物より少し太くし(柱は最低でも12センチ角)、昔の建物の知恵を借り、メンテナンスできる工夫をすれば、100年以上の寿命を持つ建物となります。

現代の民家:これからの建物

現代の民家といっても、茅葺き屋根の民家ではありません。それは100年以上の耐久性を持つと同時に、現在の生活に対応できる建物のことを指しております。

今までのように、ローンの支払いが終わると建物の寿命も終わりというのでは、現在の生活が楽になりません。2代、3代と住み継がれ、住宅ローンのない生活がこれからの時代に必要になってきます。ローンの支払いに追われ、家に帰るのは寝るためだけという御主人が多いそうです。でも、このような建物ができれば、ゆとりもでき、生活における家の価値を本当に考えられるようになります。

家を大事にする考え方は、やがて生活に反映していき、文化を創っていくのではないでしょうか。その意味でも、現代の民家を真剣に考える時期にきていると思います。

最後に、初めに建てる人の負担を考えると、国が公庫の融資期間を長くし、100年ローンができるように考えてほしいものです。

住まいの話題[31]執筆者
■角野 茂勝(かどの しげかつ)/角野建築研究所

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