■住まいの話題[35]:自然と共生する住まいづくり
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18世紀末から始まった産業革命以後、人間の活動の結果として二酸化炭素の増加が進み、地球環境問題が何かと話題になっている現在、少しでも化石燃料である石油・石炭を少なくする工夫が求められています。その中で建物にもパッシブ的な考え方が多数出てきています。その一つのシステムとしてパッシブソーラー(OMソーラー)があります。

パッシブソーラー(OMソーラー)の家とは

大規模な機械装置を用いないで建築的な工夫によって自然エネルギーを最大限に生かすよう、建物の構造と部位自体に、パッシブソーラーを考える上で大切な三要素(集熱、蓄熱、気密断熱)を徹底的に施す家です。

軒先から新鮮な空気を取り入れ、屋根面で集熱し、ガラス付屋根集熱面でさらに空気を暖めます。棟巾いっぱいに設置してある半円形の断熱素材で出来ているダクトで暖めた空気を集め、中にファンとお湯採りコイルや補助暖房用の温水コイルが入っているハンドリングボックス(このシステムで唯一機械が入っている)に送り、ファンで床下の蓄熱コンクリートに熱を蓄熱させ、窓際から蓄熱した残りの暖かい新鮮な空気が床吹出口から出てくる仕組みです。蓄熱土間コンクリートに蓄えられた熱は、夜間徐々に室内に放熱してくるようになっています。

雨や雪や曇りの日など暖房負荷が足りない時は、補助暖房(温水によるファンコンベクター、ヒートポンプの冷暖房器、温水コイルをハンドリングボックス内で熱交換させ床下に送り窓際の床吹出口から出てくる方法など)によって、タイマーやサーモスタットの働きを借ります。夏は逆運転によって、床下の空気を誘引して換気をしながら排気するので、防暑・採涼の効果があります。春から秋までは、ハンドリングボックスの中にお湯採りコイルを組込めば、お湯採りが出来ます。この床暖房は頭寒足熱で、全室暖房を基本とするので吹抜空間にも対応でき、吹抜を介して2階の部屋にも暖気を廻すことが期待出来ます。

パッシブソーラーの家(外観)
パッシブソーラーの家(LDK)
パッシブソーラーの家づくり

写真は実例です。敷地の周囲は豊かな森の緑に囲まれており、日中、太陽もあたりパッシブソーラーの家には好条件な場所です。施主は地球の環境問題に関心があり、太陽エネルギーを利用した住まいを考えていました。その土地から見下ろした街々の夜景がすばらしかったのと、ソーラーの家に適した条件が揃っていたので、この土地が選ばれました。

工事中には、タヌキ、野ウサギ、イタチにも遭遇し、自然がまだ残っている場所です。法的には外壁に木が使用可能な区域でしたので、外壁は杉板下見張り、天井は杉板張り、塗装も木部は直物系塗料といった自然素材を使用した住まいです。また、庭には芝生を中心に桜や白樺などを植えています。

自然との共生をめざして

共生とは、自然エネルギーを利用することだけではありません。夏の日除けとしてパーゴラにツル性の植物を這わせたり、昔からあるスダレやヨシズを利用したり、西日の当たる窓側に落葉樹を植えたりすることも含まれます。また、濡れ縁やデッキなどを作り夕涼みをしたり、打水をして体感温度を下げたりします。冬は太陽の日差しを床に蓄えたり、陽の落ちないうちに戸を閉めて、暖気を逃さない工夫などいろいろあります。

日本は一部を除いて高温多湿で、雨の国、春夏秋冬四季の国です。その季節にあった住まい方が一番大切です。温故知新という言葉は、現代社会にあっても、一考する価値があるのではないでしょうか。

住まいの話題[35]執筆者
■中村 良雄(なかむら よしお)/中村良雄建築設計事務所

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