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| うちは貧乏だから安物は買えない |
とは、私の祖母が口癖に言っていた言葉ですが、「安物買いの銭失い」だけはしたくないということです。特に住宅は長期間使用するものですから、目先の金額(契約時の金額)だけで高いか安いかを判断すると、誤った買物をしかねません。例えば、2,000万円の建物が25年の耐久力しかないとして、500万円足して構造をしっかり造ることによって、75年の耐久力が出たとしたら、75年という長い時間で考えると、当初2,000万円の家は3回建替えることになるので、6,000万円かかってしまうということです。 |
| 未完の家 |
とはいえ、限られた予算の中で家造りをしなくてはならないのも周知の事実です。構造体を後から直すのは難しくお金もかかることですが、内装等の仕上げは比較的簡単に出来ます。ですから当初は、骨組にお金をかけてしっかりした家を造り、住まいながら少しずつ仕上げていくという造り方もあります。完成して引越した時、家は完成している必要はありません。住まいながら造り上げていくのも「住まう楽しみ」の一つではないでしょうか。 |
| 木の特質を生かす |
木造の家を造る場合は、木という材料の長所を生かし、欠点を補った造り方をすることが重要です。木は一般的に、地震に強いとか、調湿作用があるとか、火災に強いとか言われていますが、それは木が太い時に初めて言えることであって、細い木では全く逆に作用します。「骨組にお金をかけてしっかりとした家を造る」とは、木の特質を生かした造り方のことです。木材の欠点は水に弱いことですが、屋根の庇を長く出したり床下の通風を充分にとることによって、建物の寿命は格段に延びます。 |
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| 民家再生:改築前 |
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| 民家再生:改築後 |
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| 温故知新 |
このような意味で、古民家は実に理に適った造り方をしています。日本という気候風土の中で縄文時代以来一万年に渡って試行錯誤し、自然淘汰され、現在に至っているからです。
古民家を見る時、我々は柱の太さに眼を奪われ、梁組のダイナミックさに驚かされます。先人の匠が長い経験から木材の長所と短所を知りぬいた上で、現代の構造力学に照らし合わせても、合理的でシンプルな木組を完成させたためです。 |
| ゴミを出さない家造り |
また、古民家は木の構造だけでなく、間取りにおいても、ゴミ問題で悩む現代人に貴重な警鐘を鳴らしています。現在の我々が造る住まいはとにかく、ユーザーのライフスタイルに合わせた個性的な間取りになりがちです。日本の現代住宅の平均寿命は25年と言われていますが、これは建物の耐久力による寿命ではなく、家のユーザーが代わった時に建物が個性的過ぎて次のユーザーのライフスタイルに合わず、取り壊されることが多いからです。「造っては壊し」を繰り返し、ゴミばかり生産しているのが現代です。
古民家では、どの家も間取りや造り方はほぼ同じです。床・壁・天井と押入れがあるくらいで、いたってシンプルです。そのため、建主が代わっても次の建主が抵抗なく住まい続けることが出来るのです。どちらが良いかはそう簡単に結論が出せません。でも、ゴミ問題の切り口で考えれば、もう一度、先人の住まい方や古民家を見直す必要がある時期にきているように思われます。 |
住まいの話題[36]執筆者
■杉浦 干城(すぎうら たてき)/一級建築士事務所 WHAT |