■住まいの話題[37]:思い出いっぱいの家造り
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家造りには家族の思い出がたくさん詰まっている。ここでは、家造りの初期段階から家族全員が参加することで、大きな満足を得た例を記してみたい。

きっかけ

施主家族は高校時代の友人である。ラグビー部の仲間であり、スキーの仲間でもあったがしばらくご無沙汰の状態。家造りの相談のきっかけは、生協の広告に問合せをしてみると翌日提携のビルダーが訪問。1時間程度の会話で3日後にプランを持って再来し具体的内容へとペースを誘導。それに疑問を持った施主夫婦が来所し話が始まった。

プランニング

施主の希望は、子供のアレルギーに負担をかけない自然素材の住宅。予算はそれほど掛けられない。家族構成は夫婦と3人の子供。将来親が1人になったら一緒に暮らしたい(現在は隣で老夫婦2人暮らし。2世帯住宅は望まなかった)。自然と家族が集まってくるリビングが欲しいとの考えからプランニングがスタート。奥さんのピアノ教室の部屋は旦那さんの書斎と本棚で仕切り、片親と同居の場合はピアノ教室と書斎の本棚を撤去し、2室をつなげ十分な広さを確保。中学生の娘の部屋はお嫁に行ったときに間仕切りを外し夫婦寝室とつなげられるよう、フレキシブルな空間とそれに対応できる構造体とした。

桜の木

家を建てる予定の位置の中央付近に桜の木があり、枝が大きく張っているので残したまま建てるのは不可能? プランニングの最中に伐採し整地の段取りにかかるが、「待った」をかける。親が植えた記念の桜。一緒に育ち、春になると花が咲き乱れ手入れをしていない山桜。思い出の桜の木を生かそうと、4メートルほどの長さに切り材木屋で保管。使用箇所の検討をし、みんなが集まるリビングに大黒柱として再生することに決定。生きていた場所とほぼ同位置。自由に伸びた木なので、背割りを入れずに自由に割れが出てもそれも楽しむことにした(背割りは表面のひび割れが出にくくするため。桜は割れが出やすい木)。

1階・2階平面図
リビング(中央が桜の大黒柱)
山の木を選ぶ

思い出の木を使うついでに、原木屋さんと共に西川材の山へ入り、間伐予定の樹齢70年ほどの杉を2本購入。見て、触って、選んだ杉の木を10m1本物の梁として使用。庭には栗の木もあったので、リビングの床材は栗の木にした。

工事参加

ここまできたら「工事にも参加してしまえ」と家族が協力。まず、全ての柱の面取りカンナ掛け(角に面を取る作業)。壁断熱材の充填。デッキの作成。各部塗装工事。そして、日々の作業後の清掃は小学生の子供が内部の掃除などと、家族全員参加による工事が完成。懐かしさ、生い立ち、思い出がいっぱい詰まった「家族の家」に子供たちも大満足。上は中学1年生から下は幼稚園年長の子供にも、思い出ばかりではなく、造る職人の姿や物の大切さが十分理解できたと感じる。

分離発注

予算と少し特殊な工法のため、工務店の一括請負では工事費オーバーは目に見えていた。そこで、設計の初期段階で完全分離発注に切り替え、当社で現場管理。リスク負担についても施主と話し合い、理解のうえで、当社ネットワークの専門業者(現在はオープンネット加盟事務所)の協力を得た。それにより工務店経費分は安く上がったと考えている。金額にしても、施主側が60万円分くらいの工事を行なった計算になる。

住まいの話題[37]執筆者
■大沢 宏(おおさわ ひろし)/(有)コウ設計工房

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