■住まいの話題[44]:心を健康にする住まい
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家の中にも「赤ちょうちん」

ここ数年の不況、子供は一番お金がかかる時期、会社に行けば何時リストラされるか解からない。そんな中年サラリーマンのお父さんたちは、会社帰りに「赤ちょうちん」で、ちょっと一杯やりながらグチをこぼすことで、ストレスを解消しています。

一方、子供も子供なりに学校や友達の中で生きていくために、ストレスをためて生活しています。学校から帰ってもストレスを発散できずに塾通い。お父さんには救いの神の「赤ちょうちん」があるけれど、子供にはそれがありません。大人なら自分のストレスをコントロールできますが、子供にはストレスを発散する場所もなければ、相手もいません。ましてや、自分自身の精神状態をチェックする仕方も知らないので、イジメにあったり、登校拒否が生じたり、非行に走ったりします。せめて住まいの中だけでも、子供たちのストレスが発散できる「赤ちょうちん」をつくれないものでしょうか。

子供にとって心の安らぐ場所は、自分を見守ってくれる時間と空間です。お父さんお母さんや兄弟と共にくつろげる場所こそ、子供にとっての「赤ちょうちん」なのです。ところが、家を作るとき父親や母親の立場では、ゆっくり勉強ができる子供室を与えてあげたいと願います。その分大きな家をつくるために建築費がかかり、ローンを支払うためにお母さんはパートで働き始めます。結果として、子供は家に帰ってきても話を聞いてくれる相手がいないため、ますますストレスをためてしまいます。

「赤ちょうちん」の居酒屋
多目的カウンターのある食堂

そこで少し見方を変えて、居間や茶の間の片隅に家事机を兼ねた、多目的カウンターを作ってみてはどうでしょうか。その場で勉強すれば、子供室は寝るだけの広さでこと足りるし、2人1室にしても十分です。こうすることで住まいがコンパクトになり建設費も減らせます。しかも住宅ローン軽減のためにパートで働く時間を、子供が学校へ行っている間だけに限定すると、子供が帰ってきても一人ぼっちになることはなく、お母さんは子供の「赤ちょうちん」的存在になれるのではないでしょうか。

気になる音、気にならない音

老夫婦にとって、孫の声や足音は許せても、嫁や婿の声や足音はなかなか許しがたいようです。音には「気になる音」と「気にならない音」があります。これは、「赤ちょうちん」の場が必要なのと同じくらい、住まいづくりで十分考慮しなければならない点です。

2世帯住宅で、寝室を上下階の同じ位置にもってきても平気と考えてしまいがちですが、それは禁物です。同じ屋根の下で暮らしていれば、時には嫁と姑との争いもあるでしょう。そんな日に、寝室が上下同じ位置では気になって仕方ありません。ストレスもたまります。

では、1階の寝室(老夫婦)の上にはどんな部屋を配置すればよいのでしょう。2階の面積に限りがあるときは、子供室か居間しかありません。生活時間を考えても子供が小さいうちなら早く寝付きますから、上が子供室でも平気かもしれません。居間を配置する場合は、部分的に畳を敷いて音を吸収します。もし2階に予備室を設けるゆとりがあるなら、それを重ねることが一番の解決策になります。それと、1階が寝室となっている2階の部屋には、発生音を少なくするため、床仕上げに畳やカーペット等の柔らかい素材を用いると効果があります。フローリングが希望なら、床材の下に防振ゴムや防振フェルトを施してもよいでしょう。

このように、家族一人一人がストレスをためず、日々の暮らしのなかで、自分の精神状態を健康に保ちバランスをとるような、そんな居心地の良い家がこれからは強く求められていくのではないでしょうか。

住まいの話題[44]執筆者
■三輪 克司(みわ かつじ)/A.I.C三輪建築造形事務所

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