■住まいの話題[45]:寝たきりの人のための改修工事に工夫を
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寝たきりの人といっても、座位を保てる人や保てない人、判断が正常な人やおかしい人など程度の差があるから一概に言えませんが、そんな人のために住宅を改修しようと思っている人にとって、参考となるかもしれないことがあります。
天井は語りかける

先日ある特別養護老人ホームの機械浴室を見学して驚いたことがあります。機械浴室とは寝たきり入居者の入浴のための特殊浴槽のある室です。特殊浴槽とは介護者にとって作業が負担にならないで、また世話される人も快適に入浴できるように工夫がされている入浴装置です。高価なため住宅への導入は難しいでしょう。

私はその室の天井に驚かされたのです。そこには入居者が一生懸命作った様々なモビールが所狭しと吊るされていたのです。入浴者が作ったものもあるかも知れません。ヘルパーの説明では「入浴している人は寝た姿勢のままで風呂に入っている。その間、入浴者は天井しか見るところがない。だから天井に変化が必要なのです。健常者だって何気なく外の景色をみているでしょう。こういう施設だと、設計者は単調な真っ白の天井にしてしまう。利用者のことを考えていないですよね」とのことです。

ということは、普段寝ている空間でも同じ事が言えると思いませんか? 意識がはっきりしているかどうかは程度の差ですが、天井しか見えないのなら、天井に何らかの工夫が必要だと痛感した次第です。そうなると、照明も直接目に入らない配置計画を考えなくてはいけません。

ストレッチャーシャワールーム
「中間浴」という考え方

最近、私は寝たきりの人のための「中間浴」といった視点から、新しい試みをしています。

普通、入浴の目的は体を洗うとともに、心もリフレッシュさせるというのが主で、従として、温まることによって血流を良くするという健康増進的なものがあります。それは寝たきりの人でも同じです。しかし現実には排尿・排便などで下が汚れて不潔という事態がしばしば発生しています。だから、寝たきりの人にとっての入浴の主目的は体を洗うということになってしまいます。そのことが介護する人にとっては大変なのです。

昨今は、ベッドからストレッチャーに移動する簡単な装置があって、これなら非力な女性でも簡単に移動できます。便利になったものです。ベッドから車椅子への移動となるとどうしても抱きかかえる必要がありますが、ストレッチャーへの移動なら簡単というわけです。

そこで考えたのが「ストレッチャーシャワールーム」です。ストレッチャーごと体が洗えるスペースさえあれば、大変便利です。多少おもらしをしても簡単に洗える。清拭布などだと皮膚がただれそうでかわいそうですが、これならそんな心配もありません。しかもトイレがわりに使える優れものです。

新しい入浴スペースは配置と設備が鍵

介護用のストレッチャーは折りたためるものがあるので、収納場所は気にしなくて結構です。問題はストレッチャーが長いので、いくつものドアーを経由していくとなると、ストレッチャーの回転半径などを考慮しなくてはならない点です。回転のためにかなりのスペースを必要とするので、狭い日本の住宅では無駄なスペースとなってしまいます。だから、「ストレッチャーシャワールーム」を寝室のそばに配置しないといけないことになります。

また、裸になる空間なので暖房が必要です。しかも暖風が顔に当らないよう気を配ったり、うっかり排便をしたりすることもあるので臭気と排水対策をぬかりなくするなど、極め細かい配慮が必要です。

皆さん、こんなスペースはいかがでしょうか?

住まいの話題[45]執筆者
■早川 道敏(はやかわ みちとし)/(株)ある・こあ建築研究所

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