家を建てようというとき、往々にして漠然と間取りを決めていってしまいがちです。しかし、本質的な意味で家に何を求めるかを明確にすること、そして、それについて真剣に考えることは非常に大切なことです。家を建てるときというのは、家というものについて考えるためのよい機会です。家をつくるということは、家族のこと、生活のこと、将来のこと、それらを明確に定義して再構成し実体化を図るということだからです。
建主は、家を建てて自らが望む家族の生活スタイルを実現し、それまでの不満や障害を払拭しようとします。家は家族のためもので、家のつくりというものは、多少なりともそこに暮らす家族の関係に影響を与えます。もしも大切な家族の関係が、家というハードの問題で悪くなるというのならば、それはとても残念なことでしょう。
住宅に限らず「建築」が他の購買物と大きく異なるのは、非常に高額であること、そして土地に定着し、長期にわたり使い続けていくものだということでしょう。買ってみて気に入らなかったから買い換える、ということは簡単にはできません。それ故に建主は家を建てるときには、普段考えることのなかった様々なことを考え、どのような家にするべきか悩むこともあるかと思います。
デザイナーズマンションの流行とともに、「建築家」が設計する住宅もメディアに多く登場するようになって、あたかもファッションのように建築が捉えられている傾向もあります。しかし、見た目のデザインだけに気をとられると、大きな失敗を犯すことにもなりかねません。建築のスタイルにも流行があり、時代とともに変わっていくものです。ですから、あくまで自分が望むことをまず第一に考え、将来の存在する時間を見据え、流行だけではない本質的な価値のあるものをつくるべきなのです。