■住まいの話題[51]:イタリア料理のような家に住もう!
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イタリア料理はなぜ流行る?

「イタリア料理(以下イタリアン)が好きです」と答える方は多いでしょう。子供の頃、イタリアンといえば、スパゲティミートソースかナポリタンでした。ナポリタンがイタリアにないことは大人になって知りました。それが今では、スパゲティはパスタと名前を変え、太くて柔らかい麺はデュラムセモリナ100%のアルデンテ状態で食べられることになったのです。

いつからこんなにイタリアン、イタリアンと言われるようになったのでしょう。私の記憶では、90年代半ばのような気がします。バブルの頃は高級フレンチレストランがもてはやされ、型にハマったカッコよさを誰もが身につけようと必死でした。そんな宴もバブル崩壊とともに消え去ろうとした頃に、イタリアンが急浮上しました。

気楽で素材の味がストレートに伝わるイタリアン。そんな自然体のスタイルが受け入れられたのです。「自分らしく生きる」という風潮がイタリアンを選択したのでしょう。お店で美味しい。自分でも作れる。自分流にアレンジできる。それがイタリアンなのです。

都心の狭小・変形敷地にデザイナーズハウスが流行る!

90年代半ば、地価下落とともに都心回帰の傾向が進みました。しかし、地価が下がったとはいえ、都心に広大かつ整形な土地を購入することは難しく、20坪から30坪、さらには10坪前後の土地に家が建つようになりました。こうした狭小・変形敷地には、住宅メーカーの規格商品は当てはまりません。そこで建築家の出番となります。厳しい条件ほど燃えてくるという建築家のマゾ性に火がつき、狭小・変形敷地に家が建っていくのです。

この都心回帰と建築家の組み合わせに雑誌が注目し、狭くローコストでも、建築家となら自分のスタイルの家が手に入るというイメージを作り上げました。それを「デザイナーズハウス」としてキャッチコピーに表現したのです。そのため、建築家のイメージは金持ちのための高級フレンチレストラン的感覚から、庶民のイタリアン感覚へと劇的な変化を遂げました。

例えば、こんなイタリアン
例えば、こんな空間イメージ
イタリアン感覚で都心に住もう!

さて、本題です。都心に住むには、イタリアンのような家が必要です。「イタリアンのように」といっても、イタリア人のようにラテン的な生活をすることではありません。あくまでも家の形式・住み方の話です。

超情報化・スピード化が進む現代にあって、人々が家に求めることは、自分流の「安らぎ」の空間を得るということでしょうか。都心の家が郊外の家と決定的に違うのは敷地の大きさです。敷地が小さいということは、床面積が小さくなるということです。その条件下で「安らぎ」を得るためには、イタリアンな家が必要なのです。

では、イタリアンな家とは何でしょう。難しいことではありません。大きな空間と家具(可動・可変な家具)による構成の家です。建蔽率一杯の大きなワンルームに、一人一人のための家具が与えられます。この家具には設計段階で、各自の目的に叶った要素が盛り込まれ、それらが大きな空間に置かれて各自のスペースを決定します。気分や状況に合わせて、家具を好きなところに持っていき、空間を自分流にアレンジするのです。

それは、家族と一体であるという気配を感じさせながらも自分の「安らぎ」が得られる空間です。しかも、美味しいトマト・オリーブオイル・塩によってもたらされるイタリアンのように、ローコストでも素材を活かしたシンプルな空間に、堅苦しい気取った生活ではない、自分流の生活が得られる場をもたらしてくれるのです。

お仕着せではない、住まい手によって作られる家、それこそが必要なのです。さあ、今こそイタリアンな家を作りましょう。冷めないうちにどうぞお召し上がりください!

住まいの話題[51]執筆者
■黒川 浩之(くろかわ ひろゆき)/ FAR EAST[ファーイースト]

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