■住まいの話題[54]:家を建てるときのポイント
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生活スタイルを変えたい

生活スタイルを変えたいと思ったことがある人は多いと思う。今とまったく違うスタイルにしたいと変換を願う人もいれば、ここを少しだけ快適にというちょっとした改善を願うこともあるだろう。

現状に満足し、日々の暮らしに感謝することはとても大切なことだけれど、さらに自分にあった生活の仕方を探るのは楽しい有意義な作業だと思う。しかし、そう望んでもどうしたらいいのかと考えあぐねてしまう。

生活のスペースのあり方を考えてみよう

例えば、欲張なわたしは設計の仕事、育児を含む家族と過ごす時間、家事、趣味、交友・・・、といろいろなすべてが大切すぎてなかなかものごとを捨てられない。そんな状態は、好奇心旺盛で、情の深い証拠と自分で肯定してみるのもよいが、ともすればそれでは息つく暇もなくなってしまう。そんなわたしの生活を整理し、興味のあるものごとにさらにじっくりと深みを増すために、建築は大きく貢献してくれる。

正確には、生活のスペースのあり方によってものごとがスムーズにスリムになるのは当然のこと。さらには、ひとつひとつの毎日のルーティーンワークの見直しと改善で、使える時間、エネルギー、ときにはお金の量も増え、分散のバランスがとれてくるということだ。これは地味な作業だけれど、効果は抜群だ。

家を建てる過程で、建主も設計者と一緒に、じっくりと自分の生活の仕方ひとつひとつに向き合ってみると楽しいと思う。生活のスペースのあり方を考え直すチャンス到来なのだから。

s邸キッチンのスケッチ:
収納は効率が大切。明確。すっきり。
s邸キッチンのスケッチ:
調理場は効率だけでなく雰囲気も重視。
重要なのは具体的な生活の仕方のノウハウ

建主は具体的でなくてもよいがはっきりとした要望をもつことだ。それに対して、設計者はそれをかなえるための建築というハードを考える。そのときに重要なのは、要望に対してきちんと効果をあげる具体的な生活の仕方のノウハウが必要になるということだ。

例えば、所持品を減らしてすっきりとしたキッチンにしたいと言っている人に、シンプルなキッチンをデザインしてもすっきりと使えるわけではない。すっきりとした状態で調理し、それをキープしていく具体的なノウハウがなければ、スペースだけ与えられても意味がない。

調理器具の選定の仕方や食材の保存方法といった、ひとつひとつの細かい具体的なノウハウによって実情は大きく変わってくる。電子レンジひとつをとっても、小型のものを買い、扉付きの収納に使わないときは隠せますよということだけではなく、電子レンジを持たずに快適に料理が出来るノウハウもある。

そういったいくつものノウハウを使って、シンプルな生活を手にしていくということだ。目的を達成する方法はいくつもある。生活とはそんな具体的な出来事の積み重ねでできている。

ひとりの設計者として

こんな当たり前のことを言うのは、実際問題として、スペースがその人の役に立つよう機能していないような、ちぐはぐな状況にしばしば出会うからである。

わたしは設計者として、またひとりの生活者として、どういう点がその人にとってふさわしく快適なのかについて、たくさんの可能性を考え具体的な生活の仕方のノウハウを示しながら、欲張りでチャーミングなそんな人たちのサポートが出来れば、と思っている。

住まいの話題[54]執筆者
■上條 淳子(かみじょう じゅんこ)/ ジラフ建築設計事務所

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