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| 法的な高さ制限 |
| 建築物にはいろいろな高さの制限があります。都市計画法による建物全体の高さ(最高高さ)、建築基準法による軒高・床高・バルコニーの手摺高、敷地に接する道路による道路斜線・隣地斜線・北側斜線などの制限です。設計者はこれらの制限を念頭に置いて建物の外観をデザインしてゆきます。 |
| 意匠的な高さ |
| 「法的な高さ」は守らなければならない高さですが、それ以外に設計者が意匠的に高さを設定する部分もあります。例えば、開放感を得るためや光を多く取り入れるために、吹抜けを設けたり、天井を屋根なりに張る打ち上げ天井にしたり、一部を高くする折上げ天井や船底天井にしたりするのがそれです。設計者が意図的に設定するこうした高さ処理は、一般的な2.4m程の居室天井に変化を与えることで、生活空間にゆとりと視覚上の効果をもたらす働きをします。 |
| 床の高さ |
最近はバリアフリーという言葉が一般的に用いられ、同一フロアーの中では段差が解消されています。畳と板張り床の段差も無くなり、浴室もユニットバスの使用で洗面所から支障無く入れます。しかし玄関では普通、タタキ部分とホールの間に段差があるので、段差が大きい時は式台という板を設けて高さ調整をしたりします。また階段も昔に比べ、段数が増えて傾斜が緩やかになり、昇降しやすくなっています。
逆に、特定の部分や範囲を強調するために、わざと床に段差をつけることがあります。居間の床より高い位置にある食堂や、居間の一部の床を上げてタタミコーナーにしている例がそうです。 |
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| 開放感あふれる吹抜けの食堂例 |
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| 勾配天井のあるメゾネット型居室の例 |
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| 使い勝手の高さ |
| 家の中には、高さと関係したいろいろなモノがあります。流し台、洗面台、吊戸棚、造作家具、押入の中段、物入の枕棚、ハンガーパイプ、トイレの紙巻器・タオル掛、スイッチ・コンセント、照明器具など。これらモノの高さはほんの少しの違いで、使い勝手を大きく左右することがあります。そのため注意深く決定しなければなりません。標準取付高さの決まったモノも多いけれど、それとて万人に共通ではないので、設計者は住まい手の体型や癖を探りながら、微調整して最終の高さを決定してゆきます。 |
| 設計は共同作業 |
設計者はこれらの高さ情報を平面図・立面図・展開図などに記入します。よく、「全てプロの設計者にお任せします」と言う施主もおりますが、住宅の設計は共同作業です。しかも住むのは施主である貴方なのです。中途半端な理解や十分な納得なしで返事をすると、後で思わぬトラブルを抱えることにもなります。
例えば、北側斜線の関係で2階の寝室に母屋下がりが生じた場合、設計者はその理由や高さ寸法を説明します。でも、今住んでいる家に同じ様な母屋下がりがあるので、高さはこの程度でこんな雰囲気なのかと勝手に思い込んでしまうと、完成後に高さが全く異なることに気づき、予定していた家具も置けないという状況になります。これは、現在の家と新しい家とでは建物の配置や階高が違うために起きる事態です。このように、ちょっとした思い込みが間違いの元となります。
設計図は平面上での表現に過ぎないので、立体空間となった時の姿を理解するのは難しいと思いますが、スケールを当てたり実際の空間の中で高さ関係を把握しながら、納得がゆくまで根気よく検討を重ねることです。その結果、施主である家族全員と設計者の共同作業がうまくいけば、きっと素晴らしい住宅が完成するはずです。 |
住まいの話題[60]執筆者
■伊藤 正人(いとう まさと)/ 一級建築士事務所 スタジオ マヤ ステーション |