■住まいの話題[63]:建築家が設計した最近の住宅スタイルの傾向
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最近ブームになって次々と創刊されている住宅関連雑誌群の誌面を見ると、「デザイナーズマンション」という言葉が一般化したように、「デザイナーズハウス」という名のもとに若手の建築家が登場している。今やコンビニでも建築家を検索することが可能になってしまったのである。その誌面を見るとある傾向が読み取れることから、ここでは建築家の一面を探ってみたいと思う。
フラットな屋根

選ばれた建築家が設計した住宅は、一言で表現すると、ハウスメーカーやデベロッパーが建てているものとは違う住宅を創ることである。誰しもが思い描く山形屋根の家(切妻・寄棟屋根の家)ではない。共通点はシンメトリーを排除して象徴性をなくした外観、特にフラットな屋根(緩勾配屋根も含む)で軒の出ていない形態だ。

木造住宅については、雨仕舞のために屋根勾配をなるべく急にし軒を出すよう、学校では教えられた。それは先人達が長い年月をかけて伝えてきた処理方法である。事実、性能やメンテナンス重視のハウスメーカーは、先人達の納まりを標準図面化して、職人に間違いのないよう施工させている。しかしそれを踏まえてもなお、鉄筋コンクリート造のインターナショナルスタイルがそうであるように、誌面を飾る建築家はフラットな屋根の都市型モダン住宅に魅力を感じている。

某ハウスメーカーはそんな世の中の傾向に興味を示し、有名な建築家を登場させて、建築家風デザイン住宅を売り出している。そのため、ますます建築家の領域が狭められ、我々のデザインや技能が問われようとしている。

ガラスの大開口部をもつ家
真っ白なインテリアの家
ガラスの大開口部
大きなガラス開口部を有した開放的な家が多い。明るい家が欲しいという願望が強すぎるのだろうか? 強い陽射しが否応なしに入ってきて夏暑く冬寒いのが想像できるし、プライバシーのない丸見えの家になっている。でもそんなことはクライアントも承知の上で、建築家が勧める透明性や自然の相互貫入という大テーマの基に美しい住宅を創ったのだ。現実には、昼間でもカーテンを閉めきった家が多いという事実は残るが・・・。
白のマジック
某雑誌に載る半分以上の住宅では、内外壁・天井・インテリア全てが真っ白で、そこに有名な家具が置かれ、とにかくかっこよく撮られている。私はそれを「白のマジック」と呼んでいる。家具やインテリア小物がどんな色であっても白の仕上げには合うからだ。自然素材の木を多用して仕上げた家は安らぎがあり居心地がいいのを誰しもが認める。だが写真映りとしてはどうしてもうっとうしく見え、暗く感じる。美しさという点では、白の家に勝てないのだ。
箱型のワンルーム

「1000万円台のローコスト住宅」 とか 「1000万円台の狭小住宅」 というタイトルの雑誌では、建築家の腕の見せ所であり、こことばかり誌面を賑わしている。おかげでハウスメーカーも手を出せない領域になっている。この種の住宅は普通の家にあるものを徹底的に削り落とし、最低限の生活が可能な箱型である。仕切られた部屋はほとんどなく、扉も存在しないに近い一室空間の間取りになっている。「家族仲良く一緒に寝ればいいではないか」「家族間にプライバシーなんていらないさ」という生活スタイルを謳う。耐久性や断熱性や最新設備に興味はなく、チープな素材や研ぎ澄ました間取りに重きを置いている。

今風の住宅とはどういったものなのかを簡単に見てきたが、建築家と一緒に住宅を創りたいと思っている人は、このような住宅スタイルの傾向の善し悪しをはっきりと建築家に伝えていただきたい。住宅の設計者には、住宅建築のめざす方向をしっかりと見極め、後世に継承されるものを創作する義務と責任がある。私は、それを明快に提示し具体化していくことが使命であると思っている。

住まいの話題[63]執筆者
■荒井 努(あらい つとむ)/ アークノア

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