■住まいの話題[67]:色彩で空間を感じ取る
画像をクリックすると大きなサイズで見ることができます。

家づくりの場で最も楽しく、最も悩むのは、素材と色の組み合わせです。同じ青色であっても、素材が違えば色の深みや輝きは異なります。太陽光と照明光での違いや、月日の経過によって色味が変わってしまうものもあります。空気の質感によっても色は違って見えます。

例えば、バルセロナの乾いた大気の中では、色が鮮やかにくっきりと目に飛び込んできます。逆に日本では、しっとりとした空気が色を柔らかく見せています。ここでは、そんな色彩と空間についてお話します。

色は五感に訴える

色の作用について、暖色は膨張して見え寒色は収縮して見えるとか、明るい色は軽く暗い色は重く見える、などをお聞きになったことがあるでしょう。また、空間の上部が明るく下が暗いと安定して見える、といった作用もあります。例えば、天井が真っ黒な部屋を思い浮かべてみてください。いかにも、頭の上から圧迫されているような感じを受けそうでしょう?

さて、色が時間感覚を左右することはご存知でしょうか。実は、赤系統の部屋にいると時間が早く過ぎるように感じ、青系統の部屋だと時間がゆっくりと過ぎるように感じるのです。

これは、赤い色の照明に当たると、血圧や体温が上昇したり、呼吸や脈拍が速くなったりして、人間の交感神経に作用してエネルギー代謝を盛んにするからだと言われています。逆に青系統の寒色照明に当たると、血圧や体温は低下し、呼吸や脈拍がゆっくりとしたものになり、副交感神経に働いてエネルギー代謝を抑制するからなのだそうです。(写真1)

色によって、空間認識や時間の感覚、寒暖の感覚が変化する。すごく不思議で、面白いことだと思いませんか? 人は、五感で空間を感じ取っているのです。

写真1:濃紺の壁に暖色の間接照明を用いた
    リラックスルーム        
写真2:光りに色を付けてみた
    オリジナル照明器具 
自分だけの空間を彩る

色にはそれぞれがもつイメージがあります。例えば、赤は火や血を連想させ、暖かさや危険といった意味をもちます。このように文化や伝統や性別など、多くの人に共通の普遍的な色彩のイメージがある一方で、その人の生い立ちや環境・出来事など固有の事象に根ざす、個人的な色彩の意味もあります。

通常、青や紫といった寒色系には、安らぎとかリラックスというイメージがあります。でも自分の空間には「真っ赤な部屋が落ち着くの」「幼少の頃、赤いソファによく丸まっていたから」「大好きなお母さんが赤い服をよく着ていたから」、と赤い色に執着する人もいるでしょう。そんな自分特有の色を探ることが、自分だけの居場所を作るヒントになります。

色の冒険を始めよう

自分特有の色を探るといっても、いきなり壁面や天井の大面積を替えるのは、なかなか手間だしちょっと冒険ですよね。まずは、照明や安価に手に入る布地を使って、自分の好きな色や落ち着く色を探ってみてはどうでしょう。

布地によってもさまざまなテクスチャーがあります。帆布とシルクと別珍とでは、同じような色味でも、光のあたり具合、素材のもつ重さ・軽さといった違いで、雰囲気は大きく変わります。また、照明の色によっても、場の感じを変えることができます。(写真2)

色に触れることは、空間と戯れる第一歩です。色を感じ取るのは、五感を研ぎ澄ますことにつながります。抜けるようなスカイブルーの壁に囲まれて聴く風の音、ターコイズグリーンのタイルに響くお湯の音。その空間の色が変わると、響く音すら変わって聴こえてきます。ぜひ、空間を感じ取る第一歩を踏み出してみてください。

住まいの話題[67]執筆者
■赤松 純子(あかまつ じゅんこ)/ fantastic design

旭硝子株式会社
お役立ちリンク  資料請求  お問い合わせ  サイトマップ  ご利用環境  サイトポリシー  品質への取り組み
(C) copyright 2001-2005 旭硝子株式会社 All right reserved.