■住まいの話題[69]:楽しみながら家づくりに参加しよう
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「3びきの子ぶたの家」から学ぶ

最初に手掛けた住宅の仕事は、おばあちゃん、お父さん、お母さん、子供達4人という7人、それに留学生のホームステイを受け入れている大家族の家でした。

打ち合せには、いつも上の子供二人が御夫妻と一緒にやってきました。高校生だった息子さんは、段ボールで簡単に模型ができることを説明すると、設計図を見てちゃんと段ボールで模型をつくってきてくれました。

構造は、煉瓦のセラミックブロックを型枠のように積み上げコンクリートを流し込み、阪神大震災でもびくともしなかったもの。兄弟がそれぞれに自分の家を考えて建て、そして狼という外敵に翻弄されながら、最後には3匹で丈夫な家に仲良く暮らすという「3びきの子ぶたの家」の話が、そのままセラミックブロックを使う要因でした。

実際にブロックを積む過程では、子供達にも参加してもらいました。模型をつくってきた時点から、家はすでに設計者から彼ら自身のものになっていたのです。その結果、大家族のためひとり一人が個室を持つことはできないけれど、安心できる、ゆったりとした遊びの空間のある住まいとなりました。

またこの住宅では、古い家を壊して新築するので、お施主さんから「古い柱の木は幼稚園で使うからとっておいてもらえないか」というお話がありました。現在は建築リサイクル法で特定建築資源を分別するようになってきましたが、当時は何でもかんでも一緒に壊すため、柱だけ分けるのは一手間かけることでした。個人が家庭のゴミを一生懸命分別している時代に、すべてを産業廃棄物として処理する建築業界の遅れを感じたのを覚えています。

建物を構成する材料から、日々の生活に欠かせない水まで、自分達の使った物がどこへ行くかを意識することはとても大切なことだと思います。ゴミと消えた物も、いずれは私達の身にいろんなかたちで帰ってきます。

このように、最初の住宅設計では素晴らしい体験をしました。具体的に物事に関わると、社会のいろいろな仕組みや、個人の生活が見えてきます。

セラミックブロックの家:南側外観
セラミックブロックの家:正面玄関
楽しんでつくる

家をつくる事は大変な事業です。だからこそ、たくさんの夢を持って、楽しんでつくる醍醐味があると思います。いろいろな希望と限られた土地や資金のために、時として多くの事を諦めざるを得ないと感じているお施主さんがいらっしゃるかも知れません。大きな目標を立て一番大切なことを見つけ出す事は、諦めではなく何を選ぶかではないでしょうか。

そのためには、家族でワークショップをして、意見を出し合うのも一つの方法です。

自然の恵みを活かす

美しい空を見上げたり、さわやかな風が吹いたりすると、多くの人が気持ちよいと感じる事でしょう。人もまた自然の一部です。緑をうまく使って夏の日差しをやわらげたり、太陽のエネルギーを熱や電気に置き換えたり、雨水利用で大切な水資源を守ったりして、積極的に自然の恩恵にあずかり、あまり自然に負荷をかけないでお返しをする。それも、楽しみながら。

いま私達が次の世代に残す環境をつくるのはひとり一人です。家づくりでは、単に色やかたちのデザインだけでなく環境にも配慮して、そこに住む人を優先する。晴れた日も雨の日もどちらも、「とてもよい日」と言えるような家をつくると、毎日の生活を楽しくすることができます。

こんな考え方で家づくりを進めるだけで、病気とは無縁の、やさしさ溢れる美しく心地よい空間が生まれるのです。

住まいの話題[69]執筆者
■井元 美佐代(いもと みさよ)/ (有) SEA arch

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