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| 「フレーム」とは |
住宅に限らず建築を形造るには、「フレーム」が必要と私は考えます。「フレーム」とは構造体だけを差すものではありません。構造体を形成するためだけではなく、仕上げをも含めた建築を形造るための<考え方>です。それがデザインの“手掛かり”となり建築全体をまとめ上げるものとなります。
例えば、2つの立方体の建物といったフレームを考えたとします。フレームの考え方がなければ、2つの立方体は繋がり直方体になる可能性もあります。仮に直方体だったとしても、立方体を意識させるために構造形式や仕上げ材・色などで立方体の繋がりを意識させることは可能なわけです。
しかしながら、「フレーム」はどこから導き出されるのでしょう。もちろん考えられている建築ばかりとは限りませんが、一般的には、コンセプトと呼ばれるものから「フレーム」を導き出します。コンセプトが抽象的な表現に対し、「フレーム」は具体的に建築を定義していくものです。ただ、そのコンセプトに妥当性や必要性が無ければ、「フレーム」は“絵に描いた餅”となり、無意味になりかねません。よって、コンセプトは問題意識から導き出されるのが一般的です。 |
| 住宅における「フレーム」 |
住宅では、隣地との関係や敷地の形状、金銭的なことが問題のほとんどですが、そればかりではなく家族構成・関係などもコンセプトと成り得ます。これらによって導かれたコンセプトをうまく表現・解決するのが「フレーム」といったものなのです。
幾何学では補助線をうまく引けるかどうかによって問題の解答が左右されます。1本の補助線が引けるかどうか、気が付くかどうかによるのですが、コンセプトをうまく表現・解決する「フレーム」は、それに近いものかもしれません。 |
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| 「フレーム」を基にした家:コンセプト図 |
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| 「フレーム」を基にした家:断面図 |
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| 単純法則は奥が深い |
ここで注意したいのは、単純な法則ほど奥が深いという事実です。代表的な例がアインシュタインの相対性理論でしょう。E=mc² という有名な方程式は、見掛けの単純さとは裏腹に、含まれる世界の広さは周知の通りです。他にも単純な法則から、複雑なものを生み出す事例は、科学や生物などジャンルを問いません。
他方、人間の営み(生活)は一見非常に単純なサイクルに捉えられがちですが、複雑多岐に渡るものです。毎日、朝起きて夜寝るまでの同じ繰り返しであろうと、まったく同じ行動ではありません。少しずつ変化もするでしょうし、本来、同じものなど何も無いとも言えます。 |
| 明快な「フレーム」が求められる |
仮に「フレーム」=建築プランとしたら、この予測不可能な生活を無理にLDK様式というプランに当てはめること自体が困難なのであって、複雑な建築プランであればあるほど、当てはめられる生活はごくごく一部のものになってしまうと思われます。よって「フレーム」もまた、“単純さ”もしくは明快であることが望まれるように思われるのです。
そもそも、複雑な「フレーム」は逆に人の行動の妨げとなってしまいます。人間の生活を営む空間で、多様な行動を可能にするためには簡潔な「フレーム」を必要としますし、良くできた「フレーム」とは、人の行動を促し活発にさせるものです。
逆に、「フレーム」の無い空間は無味乾燥の箱と変わりがありません。明快な「フレーム」は行動に幅を持たせ、それだけ多くの生活を許容し産み出すものと考えます。 |
住まいの話題[72]執筆者
■松永 英伸(まつなが えいしん)/ 一級建築士事務所CLIP・共同代表 |