■住まいの話題[76]:建築家とつくる住まい
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クライアントからのメール

現在、地下部分のコンクリート打設が終了し、木造部の建方を待つ住宅のクライアントCさんから問い合わせのメールが入ったのは、昨年末の大晦日でした。始めてお会いするのが私の誕生日となると、何故か長いおつき合いになりそうだという予感がありました。

電話で直接声を聞いての会話も大切なのですが、どんな時間帯でも思いを文章で伝えることができる「電子メール」は、家づくりのプロセスでは、とても貴重な意思疎通の手段です。自分が何を伝えたいのか、もわかるのです。

建築家に家づくりを依頼する?

Cさんは、家づくりについてのご自身や奥様の思いを「文章にしておこう!」というスタンスでメールをくださいます。なぜ家を建てたいのか、建築に関する希望を含めた将来のお子さまへの配慮、賃貸住まいとの違いや街並みへの配慮など、その意識の高さには脱帽するばかりです。

なぜ建築家に家づくりを依頼するのか? Cさんはこう考えています。氾濫する建築の情報を中立な立場のプロに整理してもらいたい。一生住まう建物なのにハウスメーカーではオリジナリティーがない。“値段”ではなく“費用対効果”を実現できるのは建築家であろう・・・と。

日頃私たちが悪戦苦闘している部分をわかりやすい言葉で、Cさんは伝えてくださいました。クライアントから投げかけられた、建築家としての立場に身の引締まる思いがしたものです。

C3Project:エントランス
C3Project:南側ファサード
楽しく家づくりを進める

住まいを設計するプロセスで、家づくりを楽しく進めることを忘れてはいけません。プランニングをする過程や工事が進む過程で、次々と課題が発生します。スペースの配分、コストの調整、期限内での判断など、眉間にシワが寄る場面が何度もあります。

でも私は、クライアントと一緒に「心地よい空間」を創るというコンセプトを基本に、楽しみながら家づくりを進めることをいつも心掛けています。

終の棲家?
Cさんのファミリーは、現在30代前半のご夫婦と2人のお子さまの計4人家族。いずれ子供たちは巣立ち、ご夫婦2人の住空間となるイメージを既に持っています。相応のスケール感、途中で変化するスペースの捉え方、建物の本質を維持したいというこだわり。模型写真に示す「C3Project」は、それらを前提としたプランとなりました。
施工参加

ダイニングテーブルは無垢の1枚板を買い付ける。壁の珪藻土塗りは友人達の手を借りて味のある仕上げにする。フローリングの自然塗装は家族みんなで塗る。お洒落なアイアン手摺は安城のほうで作っているらしいのでそこから入手する。

このように、分離発注の施工方法は、クライアントが参加した家づくりが実践できる選択肢のひとつです。クライアントには、発注・材料受取までお願いすることになります。その分、手間をかけた愛着のある空間に住まう贅沢を味わうことができるわけです。

住まいの話題[76]執筆者
■伊藤 道代(いとう みちよ)/ (有) 伊藤道代建築設計事務所

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