■住まいの話題[79]:住宅設計入門(ゾーニングという手法)
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特殊解
当たり前の事ですが「住まい」は全て「特殊解」です。同じ住戸が並んでいるように見える集合住宅にも、玄関扉を開ければ各々違った顔があります。しかし、戸建住宅を作る多くの方が、“住まいは特殊解”というこの当然のことを忘れているのはどうしてでしょうか。住宅はこうあらねばならない、という思いが強くあることは決して悪いことではありません。でも、それが具体的なイメージを伴ったものに偏ってしまうと、特殊解を導く上で、大きなさまたげになってしまいます。
間取りと陣取り
もう一つ問題があります。与条件(敷地、法規等)のもとで具体的な広さを持った「間取り」を考えていくと、どうしても「陣取り」になってしまいます。そこで譲歩を重ねることになりますが、せっかくの夢が残念な結果に終わってしまいます。
ゾーニングという手法
では、どうしたら特殊解が得られるのでしょうか。最も有効な方法に「ゾーニング」というものがあります。イメージマップと言い換えても良いでしょうか。ゾーニングの作業に入る前に、ライフスタイルを考える上で最も重要だと思うキーワードを三つ程選んで決めておいて下さい。住宅の部分にこだわらず、生活や暮らし方のイメージに重点を置くことが大切です。
ゾーニングの方法
ほとんどの敷地には、敷地内部や外部から見せたくない面がある筈です。それを確認した上で、敷地内のどの位置から最も快適で長い視線が取れるかを調べておいて下さい。さて、ここからゾーニングの作業が始まります。「ゾーニング」とは動線と場の位置・向きを決めることです。階数分けもここで行います。留意すべき項目を上げておきます。
ゾーニングの例
ゾーニングを基にした住宅のアプローチ廻り

(1)敷地全体をゾーニングする。(2)建設可能ボリュームと、駐車場等どうしても広さが決定されるもの以外、各部の広さにこだわらない。どうしても広さが気になる場合は、「場」を表す言葉を書くだけでも結構です。(3)各ゾーンの最も快適な「向き」を考える。(4)外部と内部を同時にゾーニングする。

敷地での確認事項と、先程のキーワードで常にチェックしながら作業を進めて下さい。

ボキャブラリー
一般に定着している空間の構成手法・演出方法のことをボキャブラリーと呼んでいます。全体構成に関するもの、外部と内部を繋ぐ性格を持つもの、開口部に関するもの等があります。例えば、吹き抜け、コートハウス、テラス、トップライト等がそれに当たります。実際に体験しておくとゾーニングから基本設計に移行する時に役立つばかりか、豊かな空間を演出する上で大きなヒントになります。(図参照)
指示された「間」
ゾーニングが済むと、いよいよ「間取り(プランニング)」に入ります。私は、「間取り」とは「間に指示を与えること」と解釈しています。例えば、敷地のコミュニティーゾーンに‘家族全員が集まる場所’と指示することでそのゾーンがいわゆる「居間」となります。あるいは‘茶室を兼ねた和室’という指示を与えれば「多目的の和室」になります。ライフスタイルキーワードの優先順位とゾーニングがしっかり出来ていると、ボキャブラリーをヒントにした大変楽しい作業になります。一番気になる広さの問題も解決への道が見つかる筈です。また、難問の将来計画も立て易くなります。住まいを時系列で捉える上で大きな利点になると思います。
特殊解の実現 ― 基本設計へ
以上、法規や構造・設備など専門的な知識が必要な箇所を除くと、それほど難しい作業ではないと思います。是非、チャレンジしてみて下さい。(写真参照)
住まいの話題[79]執筆者
■藤井 昌則(ふじい まさのり)/ 藤井昌則設計工房

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