■住まいの話題[83]:たとえばこういう住宅を
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case-1:外観

地方都市の住宅地、その角を曲がって三軒目に、この家はポンと置かれている。直方体の上に、中心が少しずれた四角錐がくっついた小さな箱で、まるでそういう形のボックスを包み紙でラッピングしたかのような印象を抱かせる。窓の他に目に付くのは明かり取りだろうか、屋根から飛び出る小さな突起だけだ。最初は白い家に見えるが、日のあたり方によるようで、近づくにつれて色が違って見える。

1階は両隣家側と真ん中に少し壁があるだけで、見通しがよい。パーキングと物置になっている。そして、向こうには庭。光がさし込み、ちらほらと緑が見える。

あらためて道路から正面を見る。顔のようだ。三角の屋根が頭、並んだ二つの小さな窓が目、あいているパーキングのところが口。

case-1:内観

風が抜ける階段をあがって玄関へ。親子二人が住まい手である。室内は意外に広い。大きな窓とそれに続くバルコニーのためか。斜め天井が空間に変化を与えるためか。あるいは昼寝ができる大きなベンチのアルコーブのためだろうか。その部屋の中程にテーブルが一つ。その先の閉まった建具の向こうに、キッチンがあるようだ。

窓と反対側の壁には、各部屋への扉と、バスルームへの扉の三つが並んでいる。右側の親の部屋へ。単に寝るだけの部屋ではなさそうだ。左に曲がると、そのままバスルームへ。ここであの突起の意味が分かる。バスルームの上は、子の部屋の小さなロフトだ。

住まい手は、お互いの気配を感じ取りながら、家のいたるところでくつろいでいる。ここは、くるっと一筆書きができる、流れるように住まう家である。

case-1:顔のようなファサード
case-2:「トの字形」の二つの家
case-2:外観

地方都市のきわめて一般的なニュータウンは、道路と広めの宅地とにきっちり分けられている。そんな中、二つの家が建っている街区だけ、四宅地につき一本の小道が設けられている。公園へのショートカットができるというユニークな区画割だ。

建ち並ぶハウスメーカーの家々と比べ、この二つの家はとても細長い。小道に沿ってほぼ道路から隣地までの長さで建っている。13〜14mはありそうな細長い二階建ての部分と、広い庭に突き出た平屋の部分とで、「トの字形」になった家だ。

二つの家は同じ向きに並んでいるので、細長い部分の一方が小道に、他方が庭に面するということになる。壁の多い小道側には緩やかな階段や小窓が、庭側にはパーキングの屋根や植栽などがあって、程良いにぎやかさや暮らしぶりが垣間見えそうなアプローチ路だ。そのうえ、遊び場としてもぴったりである。

case-2:内観

左側の家は、玄関を通ると、庭に放り出されたような開放的なリビングに到る。天井も高く、両側に庭が見えて、気持ちが良い。とにかく広い、きれいな長方形のLDKである。

右側の家は、緩やかな階段の先が玄関だ。同じように開放的なリビングだが、さらにその奥にまだスペースがある。広く使ってもいいし、建具を閉じて個室にしても書斎にしてもいい。どちらも、子供が十分に走り回れる広さだ。

細長い部分には、どちらの家も、1階に和室、2階に個室と水廻りがある。和室は、応接間にも茶の間にもあるいは親の部屋にもなる、離れのようなつくりである。階段を上がると、廊下を兼ねた明るい水廻りにでる。そして、そこをはさんで二つの個室。どの場所にも、両側の窓から心地よい光と風が入ってくる。

というようなことを想像しながら、私は、たとえばこういう住宅も計画しています。

住まいの話題[83]執筆者
■船木 幸子(ふなき さちこ)/ (有)フナキサチコケンチクセッケイジムショ

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