現在、日本には厳密な意味での建築家という定義はありません。名乗りたい人が名乗ればよいのです。欧米では、建築家というとその資格試験は厳しく何日に渡ることも珍しくなく、口頭試問や面接も行われている国がほとんどです。日本には現在一級建築士が約20万人程いると思いますが、これも毎年一万人程増えています。子供も含め約600人に一人が一級建築士になる勘定です。土建大国といわれる所以です。
欧米の建築家は日本の建築士と違い、社会の文化的側面での役割が多く期待され、その国の文化の担い手として優遇されているため地位が高く人数も少なく、建築家と言われる人は各国に1000人程ではないかと思います。
ある建築雑誌の編集者の話では、日本で建築家と呼べる人は500人しかいないとか。そうすると、一級建築士の400人に一人しか建築家と呼ぶに値する人がいないこととなります。新建築家協会や建築士会が、欧米並みに日本でも建築家と呼べる人を選出しようと試みていますが、どのように選ぶかなどの難問があり、日本では建築士の制度しかないのが現状です。
一時期働いていたことのあるイタリアでは、建築家の仕事は多伎にわたります。有名なバッグ屋さんも建築家出身であったり、家庭で使う様々な用品のデザインも行います。一方で歴史的街並みの保存修復を行っていたり、また一人の建築家が住宅・空港・ビルはもとより、自動車・タイプライター・電気炊飯器(日本のメーカーのもの)を同時にスタジオで進行させている様を見ると、さすがにレオナルド・ダ・ビンチの末裔だなと感心させられたりもします。
はたして、建築家制度ができたとき、日本の建築家はどのような立場になるのでしょうか。