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| 現状の問題 |
100年住める家を建てたいと思いますか。勿論、家自体の耐久性も大切ですが、別の工夫も必要です。日本では多くの家が20年から30年で建て替えられています。家族構成や使い方の変化に、間取りや設備が対応出来ないからです。
唯の6畳であれば、お年寄りが亡くなるとお子さんの部屋になる。6畳と8畳をぶち抜いて冠婚葬祭をする。昔からそうやって何世代も住み継いできた日本の家も、新築時にあなたが工夫を凝らせば凝らす程、次世代が使うことを難しくしかねません。残念ながら、今建てている家には、何世代かで住み継いでいくための工夫がされていません。
近頃は、一軒分の土地が細分化されて、四、五軒の建売住宅になります。この種の家は、買った御家族が10年20年と住むことは出来ても、次の世代では使えない資産になりかねません。これからは、一世代ごとに建物をスクラップ&ビルドする無駄を慎むべきでしょう。 |
| スケルトン&インフィル |
もし家全体を大きく包んで、三代四代と長く使える殻があれば、各世代はそれぞれの事情にあった間仕切り、設備、家具、内装にお金をかけられます。そのためには、家を何世代かで使う「殻:スケルトン」と、各世代が作る「中身:インフィル」とに分けて考えるのも一つの方法です。
これから日本の人口が減っていくことは、悪いことばかりではありません。今までの劣悪な環境から一人一人がゆったりとした場を得る良い機会にもなります。最近少し元気がありませんが、まだまだ日本は世界有数の金持ちです。富を何世代かで蓄積していく準備を始めるべきです。 |
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| 20年間増改築を繰り返した建売住宅 |
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| 大きな殻と空気の流れ |
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| 殻の構造強度 |
多くの家は6畳8畳という部屋を単位に構成されています。そのため、間取りと構造が不可分になっていて、大きな空間を作ったり、間仕切りを動かしたりという変化には、対応しにくい造りになっています。
本来、日本の軸組構造はフレキシブルで、軽く、増築も容易で、リサイクル可能な理想的な構造です。しかし、現在求められている強度や設備、断熱気密の基準をみたすと、その利点が薄れてきます。地震のたびに強化されてきた構造基準からすると、最近の家を除き、以前に建った家のほとんどは不適格です。
ですから、これからは、強度と耐久性、更には在来工法の利点を持つ殻が理想となります。この殻はコンクリートでも金属でも構いませんが、木のレゴなんて可能性もあります。 |
| 皮膜、熱環境、空気の流れ |
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住宅ではこれまで、ストーブやクーラーで部屋ごとの冷暖房を考えていたため、部屋は暖かくても、台所や便所にいくと寒かったり。また、間仕切りを減らして、居間や個室など機能の限られた部屋をもう少し融通のきくものにしようという動きもあります。いわゆる脱「nLDK」の考え方ですが、この場合は一つの空間が大きくなります。
そうした大きな空間を快適にするためと、間仕切りに左右されず建物全体の熱環境を整えるためには、外側を包む殻の断熱気密性能が大切になります。“性能の良い殻”の中であれば、吹抜けを使って家中の暖かい空気を集めて一番寒い所へ持っていけるので、家中を均一に暖房出来ます。夏は集まった熱気を上に抜いてやれば涼しい空気が入ってきます。
こうした空気の流れのデザインも“性能の良い殻”があって初めて可能になります。隙間だらけの家では、熱はどんどん逃げても、汚れた空気を効果的に換気することは出来ません。 |
住まいの話題[92]執筆者
■河 浩介(かわ こうすけ)/ 河 浩介建築設計室 |