建築の内部に庭(自然)をダイレクトに取込んだり、少し距離をおいて建具や柱の間(まど)に借景して立体的な絵のような効果を出したり、池のうえに月見亭を置きそこから舟に乗ったり、庭に天の橋立をつくったり、石や苔で山や滝や川や野や海をつくったり、坪庭をつくったり、盆栽を配したりなど、日本人の自然観はとても素晴らしいものです。それは、安らかな気持ちや心地よさの部分を大切にしたのだろうと思います。今のような時代だからこそ、現代住宅には大いに活かすべき感性だと思います。
上の室内パースは、そんな思いを込めたLDKだけの計画案です。オープンな食空間や居間の寛いだ空間と庭とのつながりを重視しました。内外との区切りが無いようにみえますが、実は大きな吊引戸が隠されており、普段は開け放たれています。
ここでは、料理の楽しさや食べる時の楽しさを感じてもらえるような空間を心掛けたいと思い、二つの食空間をしつらえました。開放的なキッチンと連動した食堂に加え、庭に向かったカウンター型のコーナーをもうけ、緑や風や外の空気を感じながら食べたり、飲んだり、時には書きものなども出来るようにもしました。このプランのポイントは、コーナーがこの位置でなくてはその良さが十分生かされない事です。
また、日本人の心地良い寛ぎかたはやはり床にゴロゴロです。そんなコーナーをアジアンリゾートのように窓辺に配置し、造り付けのカウチソファーで、夏は自然な風を、冬は木漏れ日での昼寝などを楽しめるようにしました。さらに、このコーナーを渡り廊下でつなげて、庭の真中に置き離れとし、庭越しに居間が眺められるよう楽しく心地良い空間にもできます。これはもう、趣味とか好みの問題ではなく、いつの時代でも通用する飽きのこない普遍価値だと思います。
日本人の美意識や自然観、心地良いと感じることを基礎において、私たちが持っている感性を現代の住宅に合うようアレンジしたり、外国の文化といい意味でクロスオーバーさせることが、これからも重要ではないかと思います。