■住まいの話題[95]:「究極にこだわった家」に挑戦
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マスコミで話題のこだわりの家
最近は、雑誌でもTVなどでも「究極にこだわりのある家」の特集を頻繁に目にします。もちろん、話題性のあるほうが読者に喜んでもらえるわけですから当然です。吉永小百合が出ている壁のない家のCMを初め、家の中にドアがまったくない家、屋根が全部ガラスの家、雨の日に傘をさして居間から個室に入る家、居間に子供室やガラス貼の浴室がある家など、見ているだけで楽しくなります。しかし、興味は持っても住むことはできないと思う人が大半。こだわりの家というのはまさに住み手の個性そのもの、決して他にはないオートクチュールだから当然といえるでしょう。
こだわりの家を作りたい人に

建築家にお願いするわけですから、漠然とながらこだわりの家を作ってもらいたいことはよくわかります。しかし、いざ自分がその住み手になったとすると何にこだわりますか。数年で飽きたから取り替えるような商品と違って、住まいとは最低数十年の長い付き合いをすることになります。

ですから、目先の斬新なアイデアにとらわれたり、変わった形態にすればいいというわけにはいかず、将来にわたって生き続ける家を作らなければなりません。そのためには、自分のライフスタイルを確認する必要があります。突き詰めて考えれば「普通が一番」と思うかもしれませんが、これだって立派なこだわりの家です。

それでも、建築家はできるだけ新しいことにチャレンジします。柱のない家、外にある居間など、誠意をもって住み手にあった大胆な提案をします。ですから、自分を見失うことのないよう、本当に自分にあったものを選ぶことが大切です。

コンクリートの壁が柔軟に見えるアンチテーゼ
家の中心にあるガラスブロックの階段。町を照らす。
建築家とこだわりを一緒に考える

さて、自分が何を望んでいるかを設計者と一緒になって探すことはとても大切なことです。自分の個性をもっと引き出してくれるようなアイデアを設計者はいっぱい出してくれます。そのために何度も打ち合わせをして夢を具現化してください。きっとあなた自身そのものが表現された理想的な建物ができることでしょう。

さらに、言いづらいこともできるだけ設計者に話すことが必要です。現在の住まいの環境、家族や親や子供との関係、将来の家族像、居間は必要か、和室は必要か、子供室は必要かなど、議論することは山のようにあるはずです。もしかしたらその中から重要な回答が生まれ出てくるかもしれません。また、建築の作品集もできるだけ読みましょう。この種の本には写真がいっぱい出ているので、あなたの漠然としたイメージも具体的になるはずです。

意外に高価なこだわりの家

よく考えてみると、それぞれの家は土地の形状や家族数や予算やライフスタイルが違うので、本来すべての家には個性があるべきなのですが、なぜかこだわりの家が少ないというのも事実です。それは「こだわる」ことが工事金額を高くする傾向にあるからです。

「単純形態」とか「安く作る」ことに最大限「こだわる」ならば工事費も安くなりますが、それ以外は一般的なプランと違って量産品を多用できないため価格が割高になりがちです。もちろん、自己資金の条件を設計者に伝えて進めるわけですが、それでも夢に近づこうとすると予想外の見積りが出てくることがあります。そんな時は、設計者もある程度夢をつぶしていく作業をせざるを得ません。個性的だからこそ見積りにも時間がかかり、どうしてもある程度の図面を作ってからでないと見積もりが出ないので、即答ができないことも多々あります。

予算あっての建物、建て主は納得せざるを得ません。こだわればこだわるほど、値段が上がることを認識する必要があります。この点を是非ご理解ください。

住まいの話題[95]執筆者
■梅山 正純(うめやま まさずみ)/ (株)ドーム設計工房

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