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エコロジーが唱えられて久しい今日、太陽光発電や屋上緑化等、私たち建築家にも環境に対して取り組むべき分野が年々多くなってきています。これらは地球環境への対策ですが、住宅環境においては便利で省エネな家電設備の躍進の方が目覚ましく思えます。マイナスイオンも出て親自然的なのですが・・・。
つい最近のこと、都内に設計した集合住宅が完成しました。まわりは住宅やマンションが建ち並ぶ住宅街で、近隣にも気を配る中、今日の都市と住宅の環境を改めて考える良い機会となりました。
今、この設計を振り返り思うのは、敷地の環境を読み解くことの重要性です。 |
| 敷地の風を読む |
建物を設計する際、計画に先立って、敷地形状や周辺の既存建物の状況を把握するという作業が必要です。通常、敷地にはまわりの建物が隣接しているものですが、建ぺい率等の法的制限により、程度差こそあるものの空いている空間が生じているはずです。都市部ほどその空きは減り複雑になります。そうした場所を通る自然の風の流れを把握し、妨げずにうまく建物計画に取り込むことが重要です。その結果、建物の住環境を良好にし、周辺環境をも保全する事になります。
そもそも日本の風土には、伝統的な建築様式に見られるように、大きな開口で建具を開け放して、室内に十分な風を取り込むスタイルが適しています。ところが今日では、都市部の過密に伴い風の流れが失われ、視線を気にして窓を開けなくなり、より一層エアコンに頼るようになっています。実際、室内のカビの発生やシックハウスといった最近の問題は、こうした変化に大きく起因します。今年、24時間換気の法令が施行されましたが、日本の伝統様式を顧みると寂しい話です。 |
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| 自然を取り込むテラス |
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| 間仕切り可能な居間(右は屋上庭園) |
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| 2つの光 |
住環境を大きく左右するのが光環境です。建物の計画上、この光には量と質、2つの側面があります。前者は採光と呼ばれる光の量の計画で、法令により最低基準値が規定されています。近年の法改正で楽になったとはいえ、狭小敷地の住宅で悩まされるのはこの採光の問題で、反面、設計者の腕の見せ所でもあります。
一方、プランを検討する際、部屋の広さや繋がりは勿論の事、方角も重要な検討事項になります。この方角に対する価値観は太陽の運行に伴う光の質の変化に起因します。爽やかな朝日の入る東面、冬場ありがたい南側の窓、夕日のきれいな西側テラスといったように、方角それぞれに光の性質があり、設計にはそうした光をコーディネートするという一面もあります。
ちなみに、世間で占いの如く騒がれている家相や風水の吉凶に関しては、個人的にはあまり興味はないのですが、決して間違った理論でもないように思います。例えば、キッチンは東方向が吉、南西方向が凶とされるのは、午前中の太陽光が紫外線を多く含むため殺菌効果があるのに対して、午後は紫外線が少なくなり、しかも温度が上がって食べ物を腐り易くするという理由からです。ただし、今日ではその朝日や西日が当たらない敷地も数多く、質より量が求められる現在ですが、質へのこだわりは無くしたくないところです。 |
| 建物近況 |
冷夏と騒がれた8月の終わり、建物は竣工を迎え、1ヶ月経った今、ようやく残務も片付いてきました。人の移動が少ない時期の完成で入居が心配された部屋もどうにか満室となり、やっと一安心したところです。
できた当時は道行く人が立ち止まってこの建物を見上げていましたが、最近ではその数も少なくなり、徐々に街の景色の一部となってきているようです。 |
住まいの話題[98]執筆者
■設楽 壮一(したら そういち)/ (有)一級建築士事務所クリップ |