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| 暮らしの中で必要な耐久財がすべて揃い、これからは何を求めて家を造るか、豊かな暮らしとは何かを考えると、答えは、これまで欲してきたものとは逆のもの、無くてよいもの、効率では測れないものなどの中にあるような気がします。 |
| 季節がめぐり、生活がめぐる |
かつて経済発展の後には必ず文化が花開きました。日本の文化といえば、和歌、俳句、絵画などですが、その多くは季節を題材にしています。日本は季節の変化に富んでいます。昔から住居に対しては、暑さ、寒さ、雨、雪、台風などから人を守ると同時に、季節ごとの快適な暮らしを得るための工夫を施してきました。
また、花鳥風月など自然界の移り変わり、季節の行事(正月、節分、ひな祭り、花見、端午の節句、七夕、お盆、花火、月見、お彼岸、大晦日など)も日常生活に潤いとリズムを与える役目を果たしてきました。 |
| 季節は知るものではなく、感ずるもの |
現代の家には新しい工法や建材や設備機器が導入されているため、季節による外部からの影響が小さくなっています。かつてはハレの日であり特別の日であった季節ごとの行事も、最近では日常の中に取り込まれ、季節そのものを感ずる事が少なくなっています。
そのせいか、旬の食物、花の開花、各地のお祭りなど季節の話題はもっぱらテレビやラジオのニュースで知るという状況にあります。木が芽吹き、花が咲き、虫が鳴き、鳥がさえずり、風が薫る・・・そんなささやかな季節のうつろいを感じる場がもっと身近にあれば、日常生活もさらに豊かで機微に富んだものとなることでしょう。 |
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| 季節の表現(1〜6月) |
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| 季節の表現(7〜12月) |
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| 季節の風を通す |
春の暖かい日に自然の風が通り抜ける部屋に居ると、とても気持ちがいいものです。風が通ると夏でも冷房なしで過ごせる時があります。季節によって吹く風は違い、運ばれてくる薫りも違います。従って、通風を考える時は単に窓を2ケ所以上開ければいいというのではなく、きちんと風の通り道を確保しなければなりません。
例えば、南に開口部のある部屋では、反対の北側にも窓を設けるようにします。そうすると、マンションでリビングの窓を開け玄関ドアを少し開けるだけで風が通るのと同じように、風はスムーズに抜けていきます。より多くの部屋で通風を得るには、中庭を設けるのも一方法です。 |
| 四季の緑を身近に |
部屋にはそれに見合った庭が欲しいものです。庭には一本の木か一群の草花など緑があれば季節を感じることができます。庭が造れない場合はベランダやルーフテラスや屋上などの外部空間を活用して緑を確保します。このように、垂直方向にも庭的な空間を造ることで、一味違った雰囲気のある緑の景観が得られます。 |
| 季節を表現する |
ひな祭りや端午の節句や正月の飾りなど家の中で季節を表現するモノの「場」は、これまで玄関や和室の床の間が中心でした。でも最近は和室や床の間を備えた家が少なくなってきたので、それに替わる場として家族が集まる部屋に注目するとよいでしょう。例えば、掛け軸や絵や一輪挿しが掛けられるような壁面を設けたり、壁際に低い和箪笥を置きその上をモノの飾りスペースにします。飾るモノは品の良いものを選び、照明にも気を配れば雰囲気は一層良くなります。
人の記憶は何かと結びついているものです。「ひな祭りの頃に生まれた子」「紫陽花の頃亡くなったおじいさん」というように、ある出来事が季節と密接に絡み合っています。それが家族の記憶として刻まれていくように思われます。 |
住まいの話題[99]執筆者
■横川 正広(よこかわ まさひろ)/ (有)横川正広建築設計事務所 |