設計過程では施主から、例えば、こんな要望が出てきます。「吹き抜けが欲しい」「螺旋階段がいい」「中庭が欲しい」。ここでちょっと考えてみてください。なぜ吹き抜けが欲しいのですか? なぜ螺旋階段が、中庭がいいのですか?
多分それは、何かの雑誌やテレビで見て、それが素敵だったということでしょう。でも、その家とこれから作る家は違います。敷地も環境も住む人も全く違います。開放感が欲しいのなら吹き抜けではないという解答もたくさんあります。そもそも、なぜ開放感が欲しいのかということも、結構重要なことだったりします。それと、螺旋階段は意外と生活を窮屈にするし、郊外型の景色のいい敷地にわざわざ中庭っていうのも不思議なものです。
確かに、要望の全てを含んだ家を作ることは可能です。でもそれが施主の本当に求める空間になるとは限りません。「あれっ」てなことになることは往々にしてあります。だって、螺旋階段をアクリルケースに入れて眺めているのとは訳が違うのですから。
だから、考えなければならないことは吹き抜けや螺旋階段や中庭といった「個々の形の結果」ではなくて、「施主自身がどんな風に生きたいのか」と関わりのある夢であったり希望であったり、そういったものだと思います。