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至極あたりまえのことですが、「良い住宅をつくるため」に必要な3つのコトをあらためて整理してみます。 |
| ヒトとモノのコト(環境形成というコト=環境の質を高める) |
「建築主と住宅の関係」のコトです。私たちの行っている「設計」という行為は、まず、建築主と住宅の関係を「環境形成」として捉えるところから始まります。敷地内だけの話ではなく、周辺環境、都市という自然、その土地の持つ歴史的変遷、将来どのように変化していくかなどの予測、も環境形成にとっては参照不可欠です。
そしてオーダーメイド住宅として、住む人同士の関係のあり方から、生き方や人生観・自然観といったプライバシーの奥底まで鑑み、建築主の身の丈に「仕立て」ていきます。その際に、経済・法律・技術などのフィルターを通して現在における最適解を抽出できているかどうかが、良い住宅としての条件となるでしょう。
住宅であるからこそ、ヒトとモノの関係は常に「人間と環境の関係」というパースペクティブな視点を持って組み立てていくものと考えています。 |
| モノとモノのコト(デザインというコト=設計の質を高める) |
住宅の設計は、予算内におさめていくためにパーツをアッセンブルする作業であるといえます。予算が青天井のようなフルオーダーなら一つ一つの部品からデザインしていくわけですが、時間的・法規的な制約から、開発したメーカーに依存せざるを得ないというのが現状です。
住宅産業は各パーツが細分化・規格化されて流通しており、技術的にも各メーカーが日進月歩の開発を行っています。しかし細分化されすぎてきているため、各パーツの取捨選択やコーディネートに関しては、やはり技術とデザインの専門知識・センスがいるわけです。デザイン的にどうしても納得のいかないモノは、予算の許す限りセミオーダーとして発注します。また細かなモノは、納得のいくまで設計者自らが手を動かしてつくります。 |
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スッキリした鉄骨階段を発注製作し、 通風用窓に設計者自ら網戸を作った住宅の例 |
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ペンダント照明を設計者自ら作り、キッチンの ステンレスシンクを発注製作した住宅の例 |
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ヒトが生活する器(うつわ)としての建築に使い勝手や快適性を備えるのは当然ですが、オーダーメイドの個人住宅には建築主の個性や人となりが大きく反映されていきます。そのイメージや選択肢の幅を広げ、モノとモノのいわば「自然なおさまり」をつけていくのが、設計者の役割であるといえるでしょう。 |
| ヒトとヒトのコト(関係形成というコト=施工の質を高める) |
住宅をつくるにあたって登場する3役、つまり建築主、設計者、施工者という当事者間において良い3角関係を形成するコトも、良い住宅をつくる条件のうちの一つです。もちろん「経済」という意味では発注者である建築主が最上位にいます。しかし「信頼」もしくは「信任」という点においては、建築主、ハードをわきまえたソフトづくりのプロとしての設計者、モノづくりのプロとしての施工者の三者がつくる3角形の安定さが、つくるモノのクオリティに反映されます。
そこが工場でつくられる大量生産モノと住宅という一品生産モノとの大きな違いです。人間関係がダイレクトにモノの質に現れる住宅のコワイ所でもあり、オモシロイ所でもあります。
住宅をつくるということは、どれだけヒトを信頼・信任できる物差しを持っているかが試されることでもあります。そして、良い3角関係を築けるかどうかが、良い住宅への大切なポイントになると思います。 |
住まいの話題[111]執筆者
■伊藤 寛明(いとう ひろあき)/ (有) ハイプロジェクト1級建築士事務所 |