皆さんは建築家に対してどのようなイメージ持っていますか? 目新しい空間を創造するアーティストのような職業だと思われていますか? 確かにある側面では、竣工時など出来上がった空間を御披露目したり、雑誌などに掲載されたりと、派手に思われる部分は少なくともあります。しかし実際はそのようなハレ的な面は業務のほんの一部分であって、大半の業務はとても地味な作業が多いのです。
例えば住宅を設計する時は、敷地要因・法的要因、施主の要望・想定予算等のいろいろな諸条件を整理していくことが軸となり、その中で施主の要望に対する空間デザインを提案していきます。単に要望に対して理想的な空間を提案するのではなく、様々な諸条件の制約の中で、現実に可能であると思われる範囲内でより良い計画を模索していきます。つまり、リアリティ追求の建築家はアーティストではなく、デザイナーなのです。
通常、建築家は構造設計者や設備設計者と三位一体になって設計業務を行っており、物件によっては他の専門家(照明やランドスケープやグラフィックのデザイナーたち)と協働作業しながら設計を進めます。その指揮官としての役割を建築家は果たしています。ですから、まとめ役として存在することが多い建築家は、アーティストではあり得ないのです。でも、単にコーディネーターとしての役割を担うだけでなく、いろいろな諸条件をクリアしながら施主に対してより良い空間を創造していくという意味では、デザイナーなのです。