■住まいの話題[113]:建築家だけで家は建つ!?
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建築家はアーティスト?

皆さんは建築家に対してどのようなイメージ持っていますか? 目新しい空間を創造するアーティストのような職業だと思われていますか? 確かにある側面では、竣工時など出来上がった空間を御披露目したり、雑誌などに掲載されたりと、派手に思われる部分は少なくともあります。しかし実際はそのようなハレ的な面は業務のほんの一部分であって、大半の業務はとても地味な作業が多いのです。

例えば住宅を設計する時は、敷地要因・法的要因、施主の要望・想定予算等のいろいろな諸条件を整理していくことが軸となり、その中で施主の要望に対する空間デザインを提案していきます。単に要望に対して理想的な空間を提案するのではなく、様々な諸条件の制約の中で、現実に可能であると思われる範囲内でより良い計画を模索していきます。つまり、リアリティ追求の建築家はアーティストではなく、デザイナーなのです。

通常、建築家は構造設計者や設備設計者と三位一体になって設計業務を行っており、物件によっては他の専門家(照明やランドスケープやグラフィックのデザイナーたち)と協働作業しながら設計を進めます。その指揮官としての役割を建築家は果たしています。ですから、まとめ役として存在することが多い建築家は、アーティストではあり得ないのです。でも、単にコーディネーターとしての役割を担うだけでなく、いろいろな諸条件をクリアしながら施主に対してより良い空間を創造していくという意味では、デザイナーなのです。

建築家のハレ部分の例1:
「3世帯の長屋住宅」雑誌掲載時の誌面
建築家のハレ部分の例2:
デザイン監修したマンション販売時のチラシ
実際は、すべてお任せではない

住宅の設計を依頼したら、もうお任せと思われていますか? そう、提案を気に入り、建築家にお願いするのですから、基本的にはお任せで構わないのです。しかも建築家は責任を持ってその業務を進めます。勿論、専門的なことはすべてお任せでよいでしょう。しかし現実は違います。要望に対して100%応える住宅というのは建築家だけの作業で成し得ることは出来ません。実際には要望に対して想定予算があるし、専門的な見解などから可能なことと不可能なことが発生し、いろいろと判断をする必要がでてきます。その中でより良い住宅を設計していくには、建築家と施主とのコミュニケーションがとても重要になってきます。

建築家は図面やデザイン画などのツールを利用して設計意図を分かりやすく説明するでしょうが、その段階で疑問に思ったことや分からないことは質問すべきだし、うまく質問出来なくても伝えようとすることが大切です。このように、設計の場を共有し話をすることにより、建築家は些細な会話の行間を読んだりして空間を創造していくのです。つまり、家づくりとは施主と建築家の見えない協働作業なのです。

建築家が勝手に創造して提案することは出来ます。でもそれでは、施主の生活スタイルにあったこだわりのオーダーメイド住宅を創るのは不可能だと言ってもよいでしょう。特に住宅設計では、施主が担う役割はとても重要なのです。

施主がいなければ成り立たない

ある意味で、住宅は竣工時に完結しえない建築でもあります。例えば、子供が増えることもあるだろうし、両親が同居するかもしれません。住宅は進化・変化していくことを想定すべきなのです。そこには、施主がどんな人で、どんな家族構成で、どんな仕事をしていて、どんな生活をしているのか? どんなことに興味を持っているのか? 今後どのような未来を想像しているのか? こうした疑問符として浮かび上がってくる様々な事柄についての会話を通して、建築家の新たな空間創造を喚起したり、施主自身も新たな発見をしていくのです。

建築家と施主。つまり「人と人」とのコミュニケーションが住宅設計を成り立たせると私は考えています。機会がありましたら、そんな協働作業を一緒にしてみませんか?

住まいの話題[113]執筆者
■小栗 幹雄(おぐり みきお)/ ラウンドテーブル

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