■住まいの話題[120]:あなたにもつくれる低価格地下室
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よく耳にする地下室のこんな話

当社にご相談に来られる大半の人は、事前に必ず居住地付近の住宅展示場でいろいろなモデルハウスを訪れて知識を深められています。

こうしたお客様の第一声は必ずといってよいほど「AとBのハウスメーカーで地下室の相談をしたら、どちらも高くて諦めかけました。どうしても諦められなくてHP(ホームページ)で検索したら、希望の地下室が安くできそうなのでご相談に来ました。」という。

何ということだろう。地下室についてのお客様の質問に対する、営業マンの説明はこんな具合だ。

お客様:地下室は高いというけれど、いったいおいくらぐらいなんでしょうか?
営業マン:当方の今までの例では、坪単価150万円程度になります。
お客様:ウッ---、それは高いですね・・・。それで実際に建てられた事例はありますか?
営業マン:私の担当している物件ではないのですが、他の営業マンの物件ではいくつかあります。聞いた話では、湿気の点などでいろいろと問題があるようです。
お客様:というと・・・。
営業マン:湿気がなかなか取れなくて、カビが生えてしまったケースがあると聞いています。ですから、大金をかけた割には欠点ばかりなので、作らなかったほうがよかったというお客様のご意見でした。
お客様:そうなんですか・・・。そんなに高くて欠点が多いのなら地下室をやめて、地上で何とかしたほうがいいでしょうか?
営業マン:ええ、最近は小屋裏の利用度が増しておりますのでお勧めです! 工事坪単価も地下室の半分以下ですみますので、そちらのほうがよろしいと思いますよ。

オーナーマンション総掘り地下室の例
(約88畳地下室の躯体工事:坪単価約35万円)
地下ホームシアターの例
(32畳地下室の躯体工事:坪単価43万円)

こうした応答はハウスメーカーに限ったことではなく、工務店や建設会社でも同様で、しかもなぜか、それを疑わない設計者が多い。つまり、建築業界全体がこの種の応答を現在まで繰り返してきているのです。20年ほど前から地下付住宅を主に設計監理する私の立場からすれば、これは実に馬鹿げた会話です。何と情けないことかと思う。

夢は、安く丈夫で快適な地下室

本来、設計者は地下工事や基礎工事について、その内容や費用やメンテナンスの仕方をきちんと精査しなければならない。にもかかわらず、地上部分に力点を置くあまり、地盤面下の「土や基礎」については工事業者に一任・依存することが習慣化してしまっている。

特に昔からのコンクリート技術を受け継ぎ、すぐれた現代の建築技術があるにもかかわらず、「地下」と聞いただけで「触れたくないもの」と判断し、建築設計者自身がいつの間にか迷信やタブーのごとき扱いをして、高値を容認・流布している傾向がある。土木分野での地下工事が進化しているのに対して、建築分野のそれがかなり遅れているのも、そうした見当違いのうわさが流れていることと大きな関連があると思われる。

しかるにこれからは、高坪単価でRC品質が悪く、しかも小規模でジメジメとカビだらけの不快な地下室環境の原因を究明しつつ、一般的な工事内容・工法で誰もが容易に施工でき、低坪単価ながらも高品質・大型で、耐震的にも安全かつ快適な居住環境が得られる「現場築造型RC造地下室」をつくろうではありませんか。

「高値の花」と諦めていた「夢の地下室」を、ぜひもういちど初心に帰って再検討すべきだと思います。

住まいの話題[120]執筆者
■小杉 卓(こすぎ たかし)/ (株)ヴァンクラフト 空間環境設計

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