■住まいの話題[121]:今だからこそ風や水を・・・
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風とは? 水とは?

“風”や“水”なんて書くから違和感をもつ方々も多いと思いますが、要は“風水”のことです。今や空前の風水ブーム。それも少しは落ち着きましたが、いろんな本や雑誌がこぞって風水、風水と騒ぎたてました。それこそ猫もしゃくしも・・・。

その風水、建築家としてこれは少しかじりでもしなきゃあと思い、勉強しました。ところが、これがなかなか難しい。元々、中国の教えであるこの風水は、自然に対してもっとも合理的な配置をしなさいよ、という教えのようです。

雨をしのぐには屋根を。その屋根には勾配をつけて雨を地面に流す。室内には光が入る窓を設け、風が通るように窓の位置を配置する。風通しを特に必要とする部屋はその位置に気を遣い、陽当りが最も望まれる部屋ではその配置に気を遣う。

便所は虫が湧きやすいから北東の角の風通しが悪い所は避ける。居間は一日中暮らす場所だから南側がいい。台所は朝早くからの仕事場だから東側がいい。寝室は寝る前少しでも暖かい部屋になる様に西側に設ける。つまり、そんな事柄に配慮することが風水なのです。

ところが、現代の住居事情としては、設備がかなり整い、便所は水洗だし、お風呂には換気扇があり、照明で照度は確保でき、乾燥機もついている。風水なんて、何百年も昔の考えであって、今は当時の住居と事情が全く違います。

されど風水。現代の住居にも十分当てはめて考えることはとても大事です。マンションなどの場合、便所の位置やお風呂の位置などは限定され、窓がとりにくいのが現状です。でも、出来れば水場には窓を設けたいものです。

風と陽と水を意識した住宅例:外観
風と陽と水を意識した住宅例:内観
風水をどう捉えるか

住宅の場合、便所や浴室の配置についてはかなり自由度があります。しかし、風水でいうそれらの部屋の位置は、住宅の建つ土地、その土地の環境によって随分と変わってきます。四周が全て開けていれば何の問題もないのですが、そうは問屋がおろしません。南側に建物があったら陽が入りません。あきらめましょう。それじゃあ、お家も泣いてしまいます!

では、どこから陽を入れるのか、風をどう通すのか、どう水を掃けさせるのか。といった事柄を上手に解決するのが建築家の腕の見せどころです。

建築設計の条件として、「生活(life)」「機能(function)」「意匠(image)」という要素が必要だと考えています。どれひとつが欠けても、「建築」としての役割を果たしていないと思います。当然、風水の要素も設計条件の一つとなりますから、それを念頭に入れて、建築を創る必要があります。

建築家としての姿勢

風水というのは、私の解釈では「自然に忠実であれ」と思いました。土地に吹く風、降り注ぐ太陽の光、流れ落ちる雨。こうした自然がもたらす環境を、その土地に、その建物にいかに共生させてゆくかということだろうと思います。

「自然」というのは、とても偉大です。とても大事です。その自然を取り入れてゆくことは、敷地や建築にとって大切なことですが、それ以上に、「人間」自身が自然に感謝を感じながら、大切にしていかなければならないのだと理解しています。

晴れた天気に感謝し、雨降る日にも感謝する。“風水”というのは、人間が生きてゆくための、最も基本的な“教え”なのかもしれません。

住まいの話題[121]執筆者
■鳥居 弘克(とりい ひろかつ)/ アトリエ イーブン・イフ

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