日本のメーカーの自動車って、壊れないし、燃費も良いし、エアコンもよく効きます。欠点を克服して製品を良くする、近代以降の日本人が身につけた勤勉な態度と特長が見事に実を結んだ結果です。けれど、肝心の走りに感動できないとか、心に響く何かが不足している、なんて陰口もよく耳にします。
住宅にも同じような流れが押し寄せつつあるように思います。住宅が、性能や体感的な快適性などの切り口で語られることが増えて、リストにし易い題目や数字で表現されるような明快さが重要視され、結果として、性能の良い“ただの箱”のようなになってきているように思えてなりません。
日本人には、自然現象や季節の移りかわりを感じ取ったり、裏山を神様のように考えたりする伝統的な感受性と精神性があります。それは、とても微妙な感性で、かつてはそれが自然と一体になった空間づくりや生活習慣につながっていました。
現在では生活習慣も、都市化が進み住環境も変わったせいで、かつてのような住宅のあり方やプランが通用するとは思えません。でも、日本人のDNAに刻み込まれた感性に訴えかける新しい空間や新しい住宅のあり方は、もっともっと増えてもよいし、工夫できるような気がします。