■住まいの話題[130]:あなたを評価する鍵は「住み心地」
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棲む・住む・済む

動物が生活することを「棲む」という。その棲み処は、外敵から身を守り、安全で棲み易くなければならないでしょう。さて、人が生活して「住む」その住み処はどうなのでしょうか。やはり、外敵から身を守り、<安全>で<使い易く><居心地>のよいものが求められるのでしょう。

現在の日本で、人が生活する上で外敵から身を守り、<安全>にすむということはどのようなことでしょう。まず、初めに思いつくのが地震・火事・台風・大雨・土砂崩れなどの自然の猛威と、人の過ちから身や物を守ることです。そういう意味では、動物も人もあまり違いはありません。まず、これらの課題を住む人が住み処を決める上で、どの様に考えどの様な処を選ぶかが大切なことだと思います。

次に、<使い易く>ということは、反対に使い難いということと裏腹ですが、不可分だということを忘れないようにすべきでしょう。過度に使い易いことは、生活を脆弱にすることにもなり、また過度に使い難いことは、生活を刺々しくすることにもなります。要は住み手が、そのどちらもうまく楽しく使いこなすバランス感覚と同時に、生活におけるその人なりの基本ポリシーの問題とも関係してくるでしょう。

安全で使い易いものが充足されれば、果たして<居心地>のよいものができるのでしょうか。安全と使い易さは居心地のよいものにとって不可欠ですが、本当の居心地、すなわち<住み心地>のよさは、それだけでは得られないこともまた事実です。人それぞれの人生観・美的感覚・感情・精神といった心の問題、果ては資金や近所の人間関係までもが絡むからです。

その難しい問題の解決を住み家で「済む」ようにしたいのならば、気の合う建築家に住み家の設計を依頼するとよいと思います。しっかりした建築家は、いろいろな<住み心地>の家を設計図で用意してくれるはずですから。

周辺の風景に溶け込む曲面の家
やすらぎをもたらすドーム天井の茶室
家々(いえいえ)、そうではありません

<住み心地>のよさは、自分だけが満足した住み家では得られません。他人との関係を含めた周辺環境や近隣社会への配慮も大切になってきます。自分の住み家は自分だけのものでありながら、自分だけのものではないのです。

家は住宅地や街を構成する重要な要素であることを知るべきです。家は美しい住宅地や素敵な街を構成する一員として存在するので、たとえ現状が醜い住宅地や街であっても建築家を味方につけて自分も参加するという行動が大切です。そこで、すこしずつ<住み心地>がよくなるようにしなければ、決して本当の居心地のよい住み家にはならないと思います。

千変万化・不生不滅は、生きている人間にとって常に課せられています。まして人の貴賤は、その人の職業や社会的立場ではなく、その人の行動でしか評価できません。そして、いろいろな居心地を求めた住み手は、その行動を通して、造る家が<住み心地>がよいか悪いかで、逆に自分が再評価されるのです。

閑話休題

ところで、敷地はどこですか。広さはどのくらいですか。資金は幾らぐらいですか。構造は木造、鉄骨造、コンクリート造などありますが、ほかにどんなものが希望ですか。どんな趣味をお持ちですか。どんな家が好きですか。・・・・そうですか、判りました。

それだったら、北側の裏山にフラメンコが踊れる洞窟を造って、グレコの絵を飾るためにギャラリー付でギリシャ風の武家屋敷はどうですか。それとも東側の川の傍に友人を呼んで歌会のできる東求堂みたいなマナーハウスも素敵ではないでしょうか。南側にある池の上に楠の大木をライトアップして眺める、窯をもったパルテノン風の庵も面白いと思いますよ。そうだ、西側の端にミニ・コンサートや美術の制作ができるビザンチン風の別荘も、ゲストハウスとして将来の計画にしては如何ですか? そして、・・・・ハッ。・・・・夢で残念!

住まいの話題[130]執筆者
■村田 眞一(むらた しんいち)/ 一級建築士事務所 アルカディア

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