動物が生活することを「棲む」という。その棲み処は、外敵から身を守り、安全で棲み易くなければならないでしょう。さて、人が生活して「住む」その住み処はどうなのでしょうか。やはり、外敵から身を守り、<安全>で<使い易く><居心地>のよいものが求められるのでしょう。
現在の日本で、人が生活する上で外敵から身を守り、<安全>にすむということはどのようなことでしょう。まず、初めに思いつくのが地震・火事・台風・大雨・土砂崩れなどの自然の猛威と、人の過ちから身や物を守ることです。そういう意味では、動物も人もあまり違いはありません。まず、これらの課題を住む人が住み処を決める上で、どの様に考えどの様な処を選ぶかが大切なことだと思います。
次に、<使い易く>ということは、反対に使い難いということと裏腹ですが、不可分だということを忘れないようにすべきでしょう。過度に使い易いことは、生活を脆弱にすることにもなり、また過度に使い難いことは、生活を刺々しくすることにもなります。要は住み手が、そのどちらもうまく楽しく使いこなすバランス感覚と同時に、生活におけるその人なりの基本ポリシーの問題とも関係してくるでしょう。
安全で使い易いものが充足されれば、果たして<居心地>のよいものができるのでしょうか。安全と使い易さは居心地のよいものにとって不可欠ですが、本当の居心地、すなわち<住み心地>のよさは、それだけでは得られないこともまた事実です。人それぞれの人生観・美的感覚・感情・精神といった心の問題、果ては資金や近所の人間関係までもが絡むからです。
その難しい問題の解決を住み家で「済む」ようにしたいのならば、気の合う建築家に住み家の設計を依頼するとよいと思います。しっかりした建築家は、いろいろな<住み心地>の家を設計図で用意してくれるはずですから。