■住まいの話題[133]:満足のいく家づくりとは
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家づくりでは何が重要か

家づくりでは、建主の人生観・価値観・生活信条あるいは家族の習慣を反映させなければ、満足のいく家とはなりません。「自分自身が満足できる家にするには、一生の内に少なくとも三度は建て替えなければならない」と言われています。このように、幾度か思考を巡らし、体験し、失敗して、はじめて気に入った家が得られるのです。

なぜなら、社会の変化や年齢・家族構成の変化によって、思考は変わるためです。しかもそれに伴い、夢や理想が変化するので、おのずから人生観・価値観・生活信条・家族の習慣なども変わっていきます。つまり、何度も建て替えなければ、自分の満足する家にはならないということです。しかし、家を建てるのが「一生に一度」という現実では、その実現も至難の業です。

自分の感性を信じる

ではどうすればよいのか。まずは家をつくる時に、一時の感覚的なあこがれや感動にとらわれないこと、流行に左右されないこと、そして建築家の一方的な考えに押し切られないことが大切です。その上で自分自身の感性に率直に従いながら、永続的に安らぎの得られる家をつくりあげていくことです。その際には、建物の基礎部分や躯体構造などのいわゆる耐震・耐久性や、変化に対応できるシンプルさなどに気を配ることが大切です。

家は出来合いの家具ではない

家を建てようとするとき、あなたはどうしますか。まず住宅展示場や住宅関連のショウルームへ行ったり、住宅情報誌を読んだり、建築家の作品を見たり、あるいは直接、建築事務所を訪ねて「これと同じような家を設計してください」と頼んだりすると思います。

建主の思いが詰まったシンプルな家
勾配天井を重視した家:断面図

でも、自分自身の感性に素直に従うためには、現実にあるモノ、現実に建っているモノを見て判断しないことです。頭の中にある漠然とした思いをできるだけ具体化しようと努めることです。ある程度の具体案ができた時点で、建築の専門家に依頼するとよいでしょう。なぜなら、現実に建っているモノは様々な条件の違いはあっても、全くの他人の思考と感性で形になったものです。決してあなた自身の感性と同じではありません。

つまり、出来上がっている家具を見て気に入ったものとまったく同じものを作るのではなく、日頃からこんな家具が欲しいと思い描いている家具を作ることが肝心です。家づくりもそれと同じことなのです。

三位一体によるあなただけの家

あなたの思考と感性を設計者に伝えると、設計者はあなたの人生観や価値観などを理解しながら、建てようとする家の全体像を法規・構造・技術などの観点から考えていきます。その際はあなたと楽しく話し合うこともあれば、深刻な議論をすることもあります。その過程を通して、設計者はあなたの頭の中にある思いを少しずつ引き出して設計図にまとめていきます。

設計図は実際に家を造り上げていく大工さんを始め多くの職人さんたちに、あなたの思考・感性を伝える手段のひとつです。それをあなたに代わって描き、設計図どおりに仕事がなされるかをチェックするのが設計者の役割でもあります。このように、建主・設計者・工事人が三位一体となって互いに信頼し合い、しかも密なコミュニケーションをとりながら、あなただけの家を完成させていきます。

出来上がった家がさらに満足のいくものとなるかどうかは住む人自身の問題です。ライフスタイルや年齢の変化に伴い、どのように工夫していくか、あなたにはそれが問われているのです。

住まいの話題[133]執筆者
■津田 龍彦(つだ たつひこ)/ (株)津田建築事務所

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