■住まいの話題[150]:建築はファッションか?
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現代は、素材的にも、工法的にも何でも可能になり、選択肢が増えたといえますが、建築は、特に住宅は住まい手にとって、取替え可能なファッションではないのです。永く使うためにも、数字的な性能だけにこだわったり、一時の思いつきや流行のデザインに振回されたりしないで、自分の求めている住まいを建てて欲しいのです。

「自然素材」という材料

「自然素材」という言葉が氾濫しています。あたかも「自然素材」という言葉がシックハウスの免罪符であるかのように、建売住宅やハウスメーカーのパンフレットでも必ず目にします。現在「自然素材」と、ことさら騒いでいますが、かつては「自然素材」でしか家は造れなかったということを思い出して欲しいのです。

本来の「自然素材」

地場の自然素材しか使えなかった時代には、風土に根ざしたその土地固有の家づくりがなされていたのです。それがその土地固有の風景を生み出していたのです。風土という言葉もいまや風化してしまって、都市生活の環境は、その差が少なくなってきているのが実情です。しかし、本来の自然素材はその風土と密接な関係を持った材料だったはずです。現在は「自然素材」という言葉だけが独り歩きしているような気がします。

「気密性能・断熱性能」の意味

たとえば輸入住宅には、気密性や断熱性が良いことを謳い文句にしているものがあります。気密性や断熱性が良いのはなぜでしょうか。北欧の寒冷地の建物だからです。環境・風土から必然的にそういう家づくりになるのです。多雨多湿の地域では、当然違った家になるはずです。環境・風土が違うところに建つ建物をそのまま持ってきて建てるのは、どこかで無理が生じます。

高窓から朝日が差して
気持ち良い朝食を楽しめる
棟のトップライトからの光が
スキップフロアの家に一体感を生む

最近、建築基準法で24時間換気が義務付けられました。一方で気密性能を良くしておきながら、24時間中機械換気に頼らないと住めない家なんて、何かおかしいですよね。

「デザイン」の意味

砂漠地方や少雨の地域は木材が豊富でなく、レンガや石を使って家を建てます。そうすると、積み上げた壁に大きな窓は開けることが出来ません。必然的に小さな窓や縦長の窓になるのです。木造の柱・梁の間にある間戸(マド)とはその起源からして違うのです。窓ひとつとっても、デザインには意味があるのです。

レンガタイルという材料の使い方で考えてみましょう。レンガとは、元来、下から一つずつ積み上げて、重量感のある壁を構成する材料です。そういう組積造という工法に用いられる材料を、タイル状に薄く製造して、空中に張り出したバルコニーの先端に貼りつけるのは技術的に可能ですが、下から積み上げるというレンガの本質を考えるとあり得ないのです。たとえ、薄いレンガタイルを貼りつける場合でも、一つ一つ積上げた様に使用したいと考えます。永い年月に耐え得るデザインとはそういうものだと思います。

「建築家」の役目

今回はすこし建前的な話が多かったので、建築家は頭でっかちで融通が利かないと思われるかもしれませんが、決してそうではなく、建築家の本質はバランス感覚だと思います。さまざまな条件や無理難題をクリアして、クライアントに最大の満足感をもってもらうためのベストバランスを探し出す能力のある人のことだと思います。

住まいに対するあなたの想いがもっとも大事な出発点であり、それを一緒に考え、実現に向けて一緒につくり上げていく、「住まいづくりのパートナー」なのです。

住まいの話題[150]執筆者
■古平 真(こだいら まこと)/ (株)古平真建築研究所

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