■住まいの話題[156]:建築の楽しさ
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建築家のイメージ

先日、家の近くの美容院へ行き髪を切ってもらっていると、美容師さんからどういう仕事をしているかを聞かれたので「建築の設計です」と答える。すると「ああ、匠さんですか!」と言う。例のテレビのあれかと思いながら「そうでもないんですけど、そんなあなたはカリスマですよね」と返すと、「僕らもそういうのじゃないんですけどね。よく言われるんです。そういうイメージで見られているみたいです」と美容師さん。

最近、メディアによく登場する建築家ですが、皆さんも建築家に対していろんなイメージをお持ちでしょう。ちなみに私の抱いている建築家のイメージは、何かいつも難しいことを言っていて、インテリっぽく近づきがたいといったものです。近頃は減ってきているものの、私もそんなイメージをもたれないようにしたいものです。

「楽しい」ということ

建築家が設計を始めるにあたっては、どのような家にしたいかなど建主の要望を伺いますが、その要望があいまいであればあるほど、建築家は設計するときに困ってしまいます。そこで、あなたが要望をまとめる際に基本とすべき考え方が一つあります。それは、あなたにとっての「楽しい生活」を想像することです。

なるべく平易に説明するため、ここでは「楽しい」という言葉を使いますが、これは単に気持ちがわくわくするような「楽しさ」だけではなく、縁側で暖かい光を浴びながらコーヒーを飲むといった素朴な「楽しさ」、車好きが家の中に車を駐車できていつも眺めていられる「楽しさ」など、広い意味での「楽しさ」を指します。建主自身の固有の「楽しさ」に出会えることは設計者としての興味にもつながりますが、それ以上に「楽しい」は、あなたが家を造るための原動力となるのです。

楽しい建築(1)
水中にあるカフェー
楽しい建築(2)
伸縮性繊維をパーティションとして使った空間
要望(目的)とその実現方法

もし建主が要望を自分でまとめることが困難な場合は、建築家側から提案することも多々あります。もちろん、建築家の独善的なものにならないよう建主の情報を基にきちんと考えていきます。よって建築家が、建主のことをできるだけ多く知っておくことは大きな助けとなります。

建築家が、家族構成といった一般的なものから、趣味や考え方や癖など細かいことまで分かると、いろんな提案ができる確立も高くなるかもしれません。そのためには、建築家と建主との信頼関係が大切です。それと両者間の深いコミュニケーションも必要です。遠慮がいらず、たわいのない話ができる間柄、そういった関係が理想的なのです。

次に問題となるのが、要望(目的)と連動してそれをどうやったら実現できるかという方法です。その点については、ある程度、建築家を遊ばせる(自由にさせる)ことです。目的を達成するためにどういう方法をとるかというのは、建築家によって異なるでしょう。良い建築家に巡り会うと、複数の方法を提案してくれるか、もしくはその中で最適と思われるものを選んでくれるはずです。それが気に入らなければ、別の提案をしてもらってもいいでしょう。

その他にも、予算・敷地状況・構造・設備など、建築家は目的に達する過程でさまざまな条件を満たすよう試行錯誤をします。しかもそのプロセスで生じるいろいろな事柄はすべて、建主と建築家双方の了解のもとに進められていきます。

建築家への依頼

建築家に依頼することは、住宅メーカーや工務店に依頼するよりも、完成するまでのプロセスにおいて建主が取り組むべきことは多くなるはずです。でもそこには、家に対する建主の思いをどれだけ反映させることができるかどうかという点で、大きな差が生じるでしょう。だからこそ建築家には、建主が気軽に相談できる雰囲気が必要なのだと思っています。

いかがですか、建築家への依頼が少しでもしやすくなったでしょうか?

住まいの話題[156]執筆者
■姫松 親一郎(ひめまつ しんいちろう)/ device for dopamine secretion (d.d.s.)

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