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| 中央線育ち |
私は東京の西部、杉並区、西荻窪で生まれた。小学校、中学校も地元。高校、大学時代も遊び場所は吉祥寺。中央線育ちだ。中央線は、東京駅から西の、東京の真中を東西にまっすぐのびる、オレンジ色の電車だ。
一時期、城東方面に事務所を構え、暮らしていたが、2000年拙宅を高円寺の大和町につくり、中央線に戻ってきた。昨年事務所も阿佐ヶ谷に移し、どっぷり中央線暮らしになった。 |
| 自転車で行こう |
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今は、自転車通勤をしている。東は東中野から、西は西荻窪、北は西武新宿線、南は井の頭線あたりまでは、自転車で移動する。のんびり走って、だいたい自転車で30分くらいの範囲である。
このあたりは、道が細く曲がりくねっていて、変なところを曲がってしまうと、とんでもない方向へ行ってしまう。逆に道を憶えると、ショートカットが可能で、安心して自転車走行ができる道を行ける。 |
| 見つける街の魅力 |
ある時、友人の設計事務所のオープンハウスへ向かう途中、とても魅力的な一角を見つけた。杉並区役所のすぐ南、青梅街道から少し入ったところに、一部2階建ての古いテラスハウスが建ち並んでいた。地図で見ると「阿佐ヶ谷団地」となっている。所々にブランコやジャングルジムのある公園があり、4〜6戸がひとつの長屋をつくり、南には充分な庭がとられている。ここだけは、違う時間が流れているようだ。 |
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阿佐ヶ谷テラスハウス: 贅沢な緑に囲まれ、テラスハウスが均等に並ぶ。 |
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鬱蒼とした林: 深々とした木々に囲まれ、細い道が続く。 |
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今年の3月に出版された、植田実さんの『集合住宅物語』(みすず書房)を書店で見て、すぐに入手した。その本に「阿佐ヶ谷テラスハウス」として、くだんの住宅群が載っていた。それを読むと、出来上がったのは昭和33年(1958年)。テラスハウスは232戸から成り立っているそうだ。
また別の時、事務所から高円寺の駅に行くのに、太い道を行くと、何だか遠回りしてるような気がして、何度か道に迷いながらショートカットの細い道を見つけた。太い道からは見えなかったが、脇道に入っていくと、そこには古いお屋敷があり、まさしく雀のお宿と言えるような、鬱蒼とした林が広がっていた。まるで、一時代前に戻ってしまったように感じた。
そうやって、自転車でいろんな道を通ってみると、辻つじに南京下見張りの家を見つけたり、ひっそりと営まれている古書店を見つけたりで、ますますこの地域が好きになる。 |
| 暮らしと土地と家 |
家づくりを始めるために、事務所を訪ねてくれる方に、土地を探しているなら、なにかひとつでも好きで、譲れないところがある土地を探しては、とよく話す。別に東南の角地でなくても。小さくても。駅から遠くても。でも、こうだからここが好きだ、と言えるところがある土地を。
私にとってはそれが、この地域と言うことでした。暮らしてみてより魅惑されます。別に、新しい土地を探す時でなくても、いま暮らしているところを、もう少し広い視点で見てみたらどうでしょう。
私は進んで、中央線の魔力にはまりましたが、そんな魔力、案外近くに潜んでいるかもしれません。 |
住まいの話題[166]執筆者
■大塚 聡(おおつか さとし)/ (株)大塚聡アトリエ1級建築士事務所 |