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| 良い住宅とは |
良い住宅は家族の生活を様々なかたちで支援するものでなければなりません。生活の動線が短くコンパクトであるとか、バリアフリーであるとか、台所の設備が充実していて無駄な手間が省けるといったことも、良い住宅の条件となるでしょう。
こうしたことは主に住宅の持つ機能面の、人がそこで動き作業するといった作業スペースとしての便利さをもって生活を支援しているということです。しかし、便利な作業スペースという考え方だけでは、勿論良い住宅にはなりません。本当の意味でよい住宅に必要なものは良い空間です。
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| 良い空間とは |
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良い空間とは人の生活を支える確かな空間の質を備えているということです。
建築の空間は光によってはじめて部屋として認識されます。ですから開口部のない空間は存在しませんから、窓の設け方は最も大切な要素となります。また光により照らし出された空間はその壁などの表面で部屋を成立させますから、その表皮となる床・壁・天井の素材もまた強い要素となります。
これらふたつは建築の部材や材料というかたちでも注目されるものですが、最後に残る空間の質を担保するものは、窓とも密接に関係しますが、その空間自体の縦・横・高さといった空間のボリュームや形のことです。この空間そのものが生活をささえ、言い方をかえると支援するということになる訳です。
住宅の設計では、どんな間取りにするかは建主の最大の関心事です。そこには部屋数や広さといった住宅の設計条件や機能が最も表れるからです。しかし間取りは空間とは違います。部屋の関係性を示していますが高さをもっていないパズルのようなものですから、同じ間取りであっても設計者によってできあがる空間は全く違うものとなります。
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| 適切に窓配置された空間 |
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| スケールとプロポーションがマッチした空間 |
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間取りを考えることは、実は空間を考えることでなければならず、そこで重要なのが空間のスケールやプロポーションです。スケールは人を中心とした尺度で、プロポーションは空間の比率ということです。
日本の伝統建築の中には九間(ここのま)座敷という18畳の空間がよく登場します。これは3間四方の広さで、能舞台の寸法とも同じものです。日本の伝統的な寸法体系である規矩木割では部屋の広さによって天井高を変えるということがなかったので、この広さは使い勝手もさることながら、最も美しい縦横比のプロポーションを備えていたのではないかということが以前「九間論」という文章の中で述べられていました。
現代の生活でこうした寸法を取り得るかは別として、間取りは適切なプロポーションを与えられることで、初めて良い空間になるということです。
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| 地域性を活かす |
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これまでに中近東・インドを始めとして、エジプト・ヨーロッパ・アジアの各都市や建築に触れてきました。日本国内でもそうですが、最も強く感じることは、その土地の風土・環境が建築をつくり上げていることで、建築はそのポテンシャルを充分活かしているということです。それは現在の例えば東京という都市においてもなされるべきですが、雨や風、室内環境も技術でカバーできる今日においては、地域性と建築の関わり方はあまり直接的なものではなくなりつつあるのも事実です。
しかし、住宅が建つ個々の敷地はやはりふたつとない特別な場所性を必ず持っています。かつての建築がそうであったように、守るべきポテンシャルは違っていてもその場所を深く解釈し、その場所との関わりの中でのみ成立する個々の住空間をもって環境をなす、ということが求められていると考えています。
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住まいの話題[170]執筆者
■磯部 邦夫(いそべ くにお)/ (株)アーキショップ 一級建築士事務所 |