■住まいの話題[172]:住宅のデザインは生活のデザインだ
画像をクリックすると大きなサイズで見ることができます。
「おしゃれ」になった住宅デザイン

最近、巷ではインテリアブームが盛り上がっています。雑誌やテレビでもその手の特集を毎日のように目にしますし、かっこよくデザインされた住宅が驚きではない時代になってきました。それはいいことだと思います。商品住宅までもがデザインを謳い始めているくらいで、その流れは住宅全体の質の向上につながっていくはずですから。

でも、同時に何か物足りなさを感じるのも事実です。「おしゃれ」な住宅が増えているのは確かなのでしょうが、正直に言ってしまうと、どれも似たり寄ったりで、どこかで見たような感じがしてしまうのです。きれいな空間を作ることだけが住宅のデザインではないのでは・・・。住宅は他の用途の建物に比べると機能的な制約が少ないのですから、本当はもっともっと自由なことが実現できるはずなのです。

生活のデザイン

そこで提案。建築について考える前に、まず「生活のデザイン」をしてみませんか。

今まで当たり前だと思っていたことを一つ一つ見つめ直し、本当にそれで自分たちが満足しているのかどうかを問い直してみます。毎日の自分たちの行動を細かく検証し、少しでも違和感がある部分についてはどのようにすれば改善できるのか、ということを常識に捉われずに徹底的に考えてみるのです。

例えば「子供がX人いるので部屋がX室欲しい」というよくある希望。でも、そもそも子供部屋って何ですか? いったい何に使っていますか? 本当に必要な機能ってどんなこと?  実は各家庭の生活スタイルによってかなり違うはずで、それを徹底的に考えてみるわけです。

曲面に沿って展開するステップフロア
機能的に不明瞭な中間スペースの連続

「リビングはなるべく広く」とか「オープンなキッチンダイニングと一体となったリビング」なんていう話も良く聞きます。確かに「おしゃれ」なんですが、でもちょっと待って。リビング? そこでいつも何をしているかな? 一日のどの時間帯に誰が使っているんだろう? というように、自分たちの行動を一つ一つ洗い出していきます。改めて考え直してみると、自分たちに必要なものはいわゆるリビングというものとは少し違っていた、なんていうこともあるかもしれません。

住宅のあらゆる部分についてこのような作業を続けていきます。理路整然としている必要はありませんし、相互に矛盾した内容が含まれていても構いません。こうして集積された「気づいたこと」のリストをじっくりと見ていると、他にはない生活の個性がぼんやりと浮かび上がってくるはずです。これだけは譲れない、という確固たる柱の存在が見えてくることもあります。それが「生活のデザイン」です。ここまでやって初めて「当たり前」ではない、自分たちに本当に必要な住宅像が見えてくるのです。

そして住宅のデザイン

できあがった生活のデザインを空間の形に還元し、誰もがイメージできる形で提示するのが私たち建築家の仕事です。真剣に生活のデザインに取り組めば、その結果として、思いもつかなかったような驚きに満ちたアイディアを見ることができるでしょう。それでこそ、創造的な住宅のデザインと言えるのではないでしょうか。

・・・加えて言えば、素晴らしい建築家と出会うことができたなら、更にそれ以上の何かをきっと見せてくれるでしょう。これは建築家と共に行う住宅設計のもう一つの醍醐味なのです。でも、その話はまたの機会に!

住まいの話題[172]執筆者
■久原 裕(くはら ひろし)/ クハラ・アーキテクツ

旭硝子株式会社
お役立ちリンク  資料請求  お問い合わせ  サイトマップ  ご利用環境  サイトポリシー  品質への取り組み
(C) copyright 2001-2005 旭硝子株式会社 All right reserved.