■住まいの話題[173]:住まいづくりにあたって:施主に贈る覚書き
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これから住まいづくりを始めようという方に、僭越ながら、4つのポイントに絞って述べたいと思います。お役に立てれば幸いです。

間取り(家族の気配を感じる間取り)

間取りを考える際には、与条件により様々な可能性があり得る中で、それぞれの居住空間を分け隔てするのではなく、なんとなく続いていて、空気がつながっていて家族各人の気配がやんわり伝わるように配慮することが大切ではないかと思っています。玄関から始まる動線や階段、吹抜けの配置のしかた、キッチンとリビングとの関係や寝室へ続く廊下のつくりかたなどに注意を払い、目線の位置や音の伝わりようを想像しながら計画をしていきます。

子供が帰ってきた時にキッチンで食事の支度をしているお母さんと目が合って、ひと言ふた言、言葉を交してから部屋に入っていく・・・・。このほんのちょっとしたことが、家族の絆を育んでいくのではないでしょうか。

採光と通風(光を導け、風を通せ)

住宅を設計するにあたって、光(採光)と風(通風)は必ず配慮しなければなりません。日中、室内は自然光で明るい方が健康的であることに異論はないでしょう。それは居室ばかりでなく、玄関や廊下、水廻りも然りです。窓が取れないとしても、そのような時は明るい部屋から間接的に光を導くことを検討します。明るい色の壁や天井、曇りガラスなどは光を乱反射してくれますから、例えば欄間を介して、天井伝いに廊下を明るくするなどの方法があります。

光については直射日光も忘れてはいけません。南向きの掃出し窓は太陽光入射角度の違いを利用して、冬の日射は取込み夏の日射は中に入れない"庇"を備えた窓にすると、ブラインドやカーテンに頼ることなく、冷暖房負荷を軽減することができます。

十分な採光と通風により最小限スペースの
勉強コーナー(中央奥の部分)が快適な空間となる
引戸を開けると応接間(手前)とホールと寝室が
ひとつながりとなり広縁的空簡になる

日本の春と秋は、冷暖房を使わずとも快適な季節です。また、夏も夕涼みの時間、冬でもポカポカ陽気の午後など、窓を開けて風を通したいものです。入口と出口があれば風は通るのですが、南北・東西・上下で効率良く抜ける風の道を確保するのが肝要です。各部屋の扉も引戸ならば全開はもちろん、少しだけ開けるなど微調整も自在です。

都市部では粉塵や騒音の激しいところもあって、とても窓は開けられないという場合もあります。また、高気密住宅や24時間換気などと謳う建売住宅もありますが、それ以前の話しとして、窓を開ければ風が通るようにしておくことは必要であると考えます。

設備(設備の機能はほどほどに)

キッチン、浴室、水廻りをはじめ、様々な住宅設備があふれ、メーカーはしのぎを削っています。カタログを見ると便利(そうな)機能があれこれ付いた機器があり、ココロときめいてしまいます。でも、果たして、本当にそれら多くの機能は必要でしょうか?

シンプルな機能に絞った機器で十分ではないか、今一度、立ち返ってみてほしいのです。

住まいのテーマ(明確に打ち出そう)
さて、ここまで述べてきたことは、たとえ施主が詳しく知らなかったにしても、設計者がきちんと判断しコントロールしていくべきことです。しかし、これから建てようとする住まいの「テーマ=主題」がなんであるかは、施主にしか持ち得ないものです。これをはっきりと据えて取り組む態度が必要です。この「テーマ=主題」がぶれてしまうと、いくつ案があっても迷うばかりでいつまでも決断できません。さらには、このテーマに沿って個々のシーンのイメージを言葉や写真(雑誌の切抜き)などを使って、できるだけ正確に設計者に伝えることが大切です。

明確なテーマと豊富なイメージがあれば、設計者も的確に要望を捉え、また大いに触発され、さらに良い提案ができるというものなのです。
住まいの話題[173]執筆者
■山本 祐介(やまもと ゆうすけ)/ わいわい建築工舎一級建築士事務所

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