■住まいの話題[178]:ホンネで言います、理想の施主
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施主から見た理想の建築家像というのがあるように、建築家から見た理想の施主像というのもやはりあります。さてそれはどんな施主なのでしょう。お金持ち? 好きなようにやらせてくれる? いえいえ、そんなことではないのです。

大金持ちでもないあなたが(失礼!)これから目の前に立ちはだかる建築家とうまくつきあってゆくための秘訣を、建築家自らお教えしましょう。

1.まかせない
「おまかせします」そこのあなた、建築家との関係はこの一言でうまくいくと思っていませんか? とんでもない! 自分の家は自分で決めるのです。なにも考えないで「おまかせ」する人は、実は最後になって設計変更を連発する常習犯。最後まで納得のいくまで説明を聞きましょう。
2.最初の依頼は抽象的に
こんな感じの家に住みたい、という漠然としたイメージを具体化するのが建築家のウデの見せ所。あまり具体的すぎるのも実はやりにくいものなのです。ある施主は「お箸のような家」という依頼をされました。そのココロは、お箸のようにシンプルでいろいろな使い方ができる家、とのこと。ウマイ! 当然空間のイメージは瞬時に膨らんでゆきました。
3.施主は描かない

当然といっては当然なんですが、中にはいらっしゃいます、間取りを描いて下さる方が。じつはこれが一番やっかい。施主の希望はなるべく聞こうという建築家も、目の前に差し出された方眼紙を、むげにできずに困ります。そういう方は、お近くの工務店に行かれた方が良いでしょう。

はじめはこんなスケッチから
模型でイメージをふくらませて
4.心をひらく

相手は建築家ということで、緊張からか、なかなか心を開いてくれない方がいらっしゃいます。ある施主は、事前のヒアリングで趣味などお聞きしてもなかなか答えてくれません。ところが完成後に行ってみてびっくり、その方は趣味で非常に器用に人形を作る名人だったのです。家中にあふれる人形・・・・。そんなことなら飾り棚やアトリエのひとつも作ってあげたかった。極端な例ですが、あれは今となっても苦い経験です。

5.あきらめない
実はこれが一番大事! 施主は絶対あきらめてはいけません。建築家は時にあきらめさせようと、専門用語を持ち出し、コストがどうのという話を始めますが、うのみにしてはいけません。建築家も人間、進んで面倒な仕事はしません。でも、施主の決心の固さを確認すると、今度は建築家のチャレンジ精神に火がつきます。歴史に残る名建築の裏側には、常に意志の強い施主の姿があります。こんなコストでは建たないと思わずに、建築家の能力を最大限引出すことから始めましょう。ただし、引き際は大切に。建築家も人間、本当に無理なモノは無理なのです。
6.ナントカもおだてりゃ・・・

それでは建築家の能力をうまく引出すにはどうすれば良いのでしょう? 答えは簡単、まずは褒めて持ち上げる、コレに限ります。子供みたいですが、建築家は皆プライドが高く自分の仕事に誇りを持っています。これは専門職である大工さんとの付き合いにも言えることなのですが、信頼を寄せてくれる施主とそうでない施主では、あきらかにその後の対応が変わってきます。所詮は人と人とのお付き合い、好きな施主には報酬を度外視しても尽くしたくなるというのが人情です。ただし自分の本意でないことに対しては、はっきりとNOと言いましょう。そこを許してしまうと何のために家を建てるのかわからなくなります。あくまで主役は施主であるあなたであり、依頼主でもあるのですから。

生かさず殺さず、とにかく建築家をうまく使うことが良い家づくりの絶対条件です。高い設計料を払っても充分おつりが出るはずですよ。

住まいの話題[178]執筆者
■関本 竜太(せきもと りょうた)/ 一級建築士事務所 リオタデザイン

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