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住宅をつくる建主にとって、敷地(現場)は誰よりも思い入れの深い場所でしょう。
子供の頃から生まれ育った住まいを建て替える場合には、その場所は日々見慣れた風景であり、その人の原風景になっているのかもしれません。また、新しく土地を見つけて家を建てる人にとっては、苦労して探したこれまでの日々を思い出し、聖地のような思いで見つめているかもしれません。
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| 敷地を読み解く |
そんな中、これから新しい住まいを提案する設計者は、その敷地を読み解くことが必要となります。
敷地周辺の状況を知り、敷地の環境条件を調査する事は建物を設計する上で一番重要な作業であり、かつ非常に難しい事です。建主にすれば、目をつぶりたい環境(隣地からの騒音や視線、少ない採光や通風など)があったとしても、やはり自分の土地。なんとかマイナスの要素をプラスの要素に変えてもらいと願っています。
そんな思いを理解すると同時に、冷静に敷地の状況や環境を適切に判断しなくてはなりません。設計の段階で迷った時には日にちを変え、時間を変えて何度も現場に立ち、周辺を歩くことで、これまで見えなかったものが見えてくる事もよくあることです。
刑事ドラマの「現場百回」ではないけれど足繁く現場に通い、その土地の光や風、匂いを感じることで、その現場固有の性格を理解すると共に、その場所に住まう家族の気持ちが伝わってくるのではないでしょうか。
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| 現場に通う |
順調に設計も終わり、施工の段階になって現場に行くことは、また一つ設計の楽しみでもあります。
2次元で表現されていた図面が、職人さんたちの手により原寸大の立体として立ち上がり、目の前に現れることは、やはり設計冥利に尽きる時であります。 |
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まさに職人技:
コンクリート小タタキ仕上げ |
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外壁面の構成:
コンクリート基本の外壁(打放し、小タタキ、中空セメント板) |
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そんなとき、建主の方はどうかというと、毎日のように現場に顔を出す人もいれば、週に一度は必ず立ち寄る人、中には地鎮祭と棟上げ、竣工式と完成まで3回しか顔を出さなかった人もいます。それでも、大方の建主は、日々様子が変化していく我が家をワクワクそしてドキドキしながら眺めているのではないでしょうか。
現場で働く職人さんの方から見れば、建てているこの家の図面を描いたやつはこいつで、金を出しているのはこのおやじ(あるいはおばさん)かと、直接逢えば、仕事に対する力の入れようも変わってくるものです。設計者の立場からすれば、現場で変更したり、直接その場で設計したりすることもよくあることです。現場の監督はあまりいい顔をしませんが、指示された職人さんは以外と喜んで対応してくれます。
また、最近は熟練の職人が減ったと言っても、そこは職人。いかに単純な作業であっても、その行為の中にはその職人の工夫と想像力が宿り、まさに図面には表現できない空間がその手仕事の中に息づいています。建主もそんな工事の作業を日々見ることで、これから住まう建物により一層愛着が湧いてくるのではないでしょうか。
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環境に根付く
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設計者は完成後も、現場(新しい住居)に行くことは絶えません。
時に建主からのクレーム処理であったり、今後の改装の相談であったりすることもありますが、どんな場合でも家の中に入る前に、先ず建物の周囲をうろうろと歩き回り、周囲から眺め事が癖になっています。
設計当初に敷地を見に行ったときの思い、そして工事現場での思いを再確認しつつ、今後その敷地そして環境に活き活きと根付いてくれる事を願いつつ、その後も足げに現場に通うことになるのでしょう。
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住まいの話題[181]執筆者
■龍口 元哉(たつぐち もとや)/龍口元哉建築設計事務所 |