今、25年前に設計し建築した住宅の建替え計画を検討している。当時は経済が上向きの成長の時代で、住まいもそれを反映してかなり贅沢な空間づくりをした。還暦を迎えた施主は、年金を受け取ってみて、夫人の受給額を改めて知ることになった。もし夫人だけ残ったらこのままでは生活が出来ないと、生活の縮小をする事を視野に入れて検討した結果、住宅のランニングコスト・維持費軽減を計らねばとなったということである。 住宅の面積と住居費(ランニングコスト・メンテナンス費用)は正比例するので、面積を縮小することは、確かに支出を抑えるのに大きな効果が期待できる。太陽光発電装置をつけ、塗り替えの必要ない仕上げ材にし、風通しの良い家にするための打ち合わせが続いている。
都市での住宅の建て方を見ていると、敷地一杯に建物を建て過ぎていると思う。現在、我が家の2〜3軒先に新築中の住宅も、車が接触しそうなまでに道路境界ぎりぎりに接して建てられている。そんなに建ぺい率一杯まで建てなくても良いだろうと思うのだが! 屋根のある建物だけが住まいではあるまい。緑陰や木漏れ日のある外部空間は、本当に生活に潤いを与えてくれる。雨が当たっても、外部空間も住まいなのだ。ましてこの外部空間は街の景観をつくっている。みんなが住みたいと思っている美しい街は、一軒一軒の住まいの有り様にかかっているのだという事をもっとしっかり認識してもらうことは出来ないだろうか。 良い街に住むことに憧れながら、その景観形成に自分は関係ないと思っているらしい多くの建て主に、外部空間も住まい、間取りは敷地全体を間取ることからはじめようと、住まいに対する考え方の転換を強くお願いしたい。