■住まいの話題[188]:敷地環境との対話
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敷地環境

住まいは建物単体だけで成り立っているわけではありません。敷地の形状や近隣との関係も考慮に入れて、初めて成り立つものです。ましてや、日本の住宅事情を考えると、敷地環境によって住まいが決まってくるといっても、言い過ぎではないでしょう。

狭い敷地と広い敷地、整形の敷地と不整形の敷地、横長の敷地と縦長の敷地、南向きの敷地と北向きの敷地など、敷地の状態を考えただけでも多種多様です。さらに周辺環境を考慮していけば、数え切れないほどの敷地環境となることでしょう。

開かずの窓、使われない庭
隣の壁が借景の光の入らない窓や、入ったとしても直ぐ前が道路で視線を気にして閉じている窓、カーテンや障子が閉まっているならまだましで雨戸が閉まりっぱなしの窓など、よく見かけませんか? 日差しが入り込まず、使われていない物置と化している庭なども見かけたことはありませんか? もしかしたら、あなたの家にもそのような窓や庭があるのでは・・・・。

そのようなものをいくら作っても、快適な生活は得られるはずがありません。それでは、なぜそのような状況が生まれるのでしょうか。それは敷地環境の状況も考えずに、お決まりのハウスメーカー的な西洋風の住宅をはめ込んでいるからではないでしょうか。
「短所」を「長所」へ
敷地環境には「長所」もあれば「短所」もあります。「長所」は広い敷地・景観がいい敷地・南向きの敷地、横長の敷地など。「短所」は狭い敷地・不整形な敷地・縦に細長い敷地・北向きの敷地など。特に「短所」を挙げれば限がありません。住宅の設計は、これら敷地環境の「長所」と「短所」を明確にする作業から始まります。先ほどの「開かずの窓、使われない庭」はこの作業を怠った結果です。
開かずの窓、使われない庭:
視線を気にした窓と光の入らない庭
反射光の家:
サンルームからの反射光利用
それでは、「長所」と「短所」をどうすればよいのでしょうか。「長所」があればそれをさらに伸ばし、住宅のコンセプトにしていくのは当然のことですが、「短所」をなくそうとしてもそれは難しいことです。ならば「短所」を個性として捉えてはどうでしょう。そうすれば「短所」という個性は「長所」に変わるのではないでしょうか。「短所」があれば逆手にとって「長所」にしていく、そんな考え方をしてみてはいかがですか。
北向き敷地の「反射光の家」
右の写真の家は、高密集住地域の区画整理地区ということもあり、周りは木造3階建てが建ち並んでいる北と西の道路に面した敷地に建っています。敷地の南側は木造3階建てが建ち日差しは入りませんが、施主が高齢ということもあり1階を中心とした生活を希望されています。そのような条件の中でいかに明るく住むかがテーマですが、ここでは2階北側にサンルームを取り、サンルームの壁にあたった日差しを反射させ明るさを確保しています。北向き敷地という「短所」を反射光という個性に変えることで、その敷地環境ならではの光溢れる生活空間を実現しています。
その敷地環境でしか存在しない家を創るために

敷地が狭いから、環境が悪いから、と悲観する必要はありません。そこにはその敷地環境にしか存在しえない家を創ることができる可能性があるからです。幼少から育ってきたあなたにとっては大切な敷地かもしれないし、あなたの購入できる中での最高の敷地かもしれません。その敷地環境の特性を理解し、「長所」は「長所」として伸ばし、「短所」は個性としてとらえて「長所」に変換して設計すれば、どんな敷地環境でも最高の住宅となることでしょう。その敷地環境での最大の潜在能力を引き出せば、きっと、その敷地環境だけにゆるされた、あなただけの快適な生活が実現するはずです。

住まいの話題[188]執筆者
■岩田 明士(いわた あかし)/ 有限会社 岩田明士環境設計工房

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