| 画像をクリックすると大きなサイズで見ることができます。 |
| 建築家は、住宅やビルの設計をする職種だと思っている人も多いと思いますが、それは、皆様とのお付き合いをする表向きの立場のことであり、実は、もう1〜2枚の違う肩書きの名刺を持つ人が多いはずです。私の場合、ジュエリーデザイナーと建築家という、2枚の名刺を持ち歩いています。 |
| ジュエリーデザイン |
| 簡単に言えば、空間をデザインする建築の仕事に対して、身に付けるオブジェをデザインするのがジュエリーデザインです。全然違う仕事と思う方もいるかも知れませんね! 私の場合、建築の感性があるからこそできるデザインを作っています。ジュエリー(アクセサリーと言った方が日本的かもしれませんが)には、様々な分野があります。私は演劇やダンスやブライダルなど、ステージで身に付けるコスチュームジュエリーやブライダルジュエリーを得意としています。そこには、役者がいて、場所があり、演出があり、衣装がある。施主がいて、場所があり、家庭生活がある建築の世界と似ていませんか?
|
| 住宅デザイン |
| 私は日本の設計事務所で働いたことがありません。大学院卒業後、フィンランドの設計事務所で働いていました。その間、フィンランドの巨匠建築家アルヴァ・アールトが設計した住宅の図面を現地調査から作り直すという仕事もあり、北欧の住宅についてとても関心がありました。設備や構法などの違いはもちろんのこと、建築家の作った空間と住む人のインテリアセンスのコラボレーションがとても自然で、生活感ある住宅を作り上げている点に感心しました。住む人のセンスの良さはもちろんですが、部屋にお気に入りの家具や照明を置いても似合わないのであれば、心地よい生活感は生まれませんよね! 住宅デザインにおいて大切なことは、機能性に加え、住む人の趣味やセンスとコラボレーションできる住空間を提案していくことだと思います。
|
|
|
|
| 住む人の趣味と空間が調和したコラボレーションの事例 |
舞台のためにデザインしたネックレスとイヤリング |
| 結婚式のジュエリーに想いを寄せる花嫁 |
| 依頼を受けて、結婚式用のティアラやネックレスを作ることがよくあります。通常は花嫁となる女性が主役で、おとなしそうな女性でも、この時ばかりは想いを語ってくれます。結婚式場のこと、ウエディングドレスのこと、披露宴のこと、自分の顔や体のことなど。語ってもらえた分だけ、様々なアイディアが浮かび、より良いデザインの提案ができるので、お互いにとって充実感のある作品が完成します。
|
| 住宅のデザインに想いを寄せる家族 |
| 住宅をデザインする時、施主である家族が新しい住宅でどんな生活を想像しているのか、その夢をたくさん聞きたいと思っています。プライベートのことに土足で入り込もうとは思いませんが、住む人の趣味やセンス、家族関係や社会に対する考え方などが、私の提案する空間とコラボレートできなければ、長い付き合いになる住宅ではアンバランスやミスマッチが生じるからです。結婚式と同様、一生に一度のイベントと思って、想い描く生活の姿すべてを打ち明けてください。 |
| 成功への共通点 |
|
ジュエリーデザインにおいても、住宅デザインにおいても、依頼する側と作り手側が良いものを作ろうとする関係を、早い段階で築き上げることは大切です。そのためには、依頼する側が「こんなものを作りたい」「こんな家族生活を想像している」などについて、率直な想いを述べる必要があります。特に、強い関心事があると、それを基に芯のある力強いデザインが作り出され、成功する確率は高くなります。依頼する人のたくさんの想いを胸に、親身になって良いものを作り上げたいと思う気持ちは、作り手ならば誰もが抱きます。ただ私の場合は、下町育ちで、自らジュエリーを製作する職人気質のあるところが、他の建築家とは違うのかもしれませんね。
|
住まいの話題[203]執筆者
■高橋 正明(たかはし まさあき)/ atelier M+ |