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| 豊かな家とは |
| 住宅を設計するのなら、当然豊かなものを作りたいと考えます。それでは豊かな家とは何かと考えます。気のきいた工夫いっぱいの間取り、完成されたデザイン、厳選された材料、便利で高性能な設備・・・。並べ出したらきりは無いのですが、これら建物自体に関わる事をいくら積み重ねてみても、「豊かな家」を定義することはできないでしょう。私は家の豊かさの決め手は、結局は住んでいる人自身がそう感じていることだと考えています。
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| 豊かさを見出す |
住み手が豊かと感じるかどうかは、彼らのライフスタイルや考え方によるところが大きく、一設計者の力の及ぶところではないのですが、私は住宅を設計するときには、せめてものお手伝いとして、暮らしがより楽しくなるような、ちょっとした遊びを「おまけ」に付けたいと思っています。
ちょっとした遊びは、ちょっとだからこそ、ダイレクトに住み手の心をくすぐるものだと思います。たとえば窓をつくる場合ひとつとっても、採光・通風といった機能以外に、外にいい景色が見えると得した感じで嬉しくなります。また窓から効果的な光が入るなら、そこに気に入ったものを飾ると、住み手の楽しみにもなるでしょう。どうせ好きなものを飾るなら、日頃よく目にする位置に仕掛ければ、ちょっとした趣味のコーナーの出来上がりです。こういった遊びに住み手が気付いた時、その窓は初めて価値あるものとして認められ、生き生きとした力を得るのかも知れません。
このように、遊びは住み手が暮らしの中に豊かさを見出すきっかけになっています。そして、ちょっとした遊びの積み重ねが、住み手の意識の中で家を豊かなものに育てていくのだと思います。
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玄関横の出窓:華道をたしなむ夫人の趣味の場。
来客を意識して花で満たされる。 |
玄関の明り取り窓にある飾り棚:坪庭の見える窓と
照明に映えるガラスレンガ効果で色々な表情が楽しめる。 |
| 遊びの役割 |
「雨露しのぐ」という本来の住居の目的からしてみると、遊びの「おまけ」はまったく必要のないことです。遊びは無くても家は「家」であり、十分暮らしていけるのです。でも必要のないことに楽しみや意義を見出してしまうのが人間、遊びがあればこそ、自分の家に豊かさを感じるのだと思います。
また、住宅とは最も遊び心が求められる建物だと思います。たとえば、人を出迎えるにあたり、季節の花々や飾りもので玄関先を彩るとか、趣味のグッズをディスプレイして日々それを眺めて楽しむといった具合に、飾るという遊びが住まいの目的の一つを担っていることがあります。この場合は、きっちり遊べるように住まいが整えられていなければなりません。遊びは暮らしの大きな要素であり、満足感や癒しをもたらし、さらには住み手の自己表現の場となることで、その人らしく生きる手助けとなるのです。
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| おまけを付ける |
住宅を設計するのなら、当然豊かなものを作りたいと考えます。でも家が豊かかどうかは、住み手がどう感じるかによって決まります。住み手が家の楽しさを発見し、その意識の中で豊かなものへと育てることで、初めて豊かな家ができるのです。私はそれを手伝う者として、当然のことながら住み手の要望や必要な機能・性能を満たすべく設計していますが、すべては暮らしをスタートさせる材料に過ぎません。でもそのスタートの後、住み手の意識の中で、家が生き生きと育っていける栄養分として、遊びの「おまけ」を付けておきたいと思っています。
もしかしたら、誰も気付いていないだけで、ご自分の家の中にも何か楽しい「おまけ」があるかもしれません。ちょっと探してみませんか。 |
住まいの話題[206]執筆者
■白崎 治代(しらさき はるよ)/ (有)シーズ・アーキスタディオ建築設計室 |