■住まいの話題[211]:進化するキッチンのその先へ
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キッチンを侮るなかれ
みなさんは、"キッチンスペシャリスト"なるライセンスがあることをご存知でしょうか? 決して料理の達人の認証ではありません。キッチンの設計者の資格なのです。

これは、(社)日本住宅設備システム協会が発行している資格で、キッチンの歴史やその背景、人間工学からなるキッチン、レイアウトの法則、施工方法など、キッチンに関する様々な知識が専門的に問われます。さらにキッチンの図面作成試験まであり、「キッチンでここまでやるか!」という程の徹底ぶり。学んでみるとキッチンは想像以上に深く、可能性のあるものなのです。
今どきの奥様
今どきの奥様は忙しい。総務省2001年の調査によると、共働き世帯の一日あたり家事関連時間は、妻4時間12分、夫25分という結果がでている。夫の家事関連時間は5年前に比べると4分増加しているものの、妻との差は歴然である。夫の家事といっても、掃除が最も多いというデータから、奥様の一日の生活は「キッチンで始まりキッチンで終わる日々」を繰り返していることがわかる。

必ずしも奥様が働きに出ているとは限らないが、育児などで忙しいことには変わりない。ステキなリビングがあろうとも、今どきの奥様は、ゆったりとしたソファーで過ごす時間が限りなく少ないのです。

こんな例もあります。わたしの知人の家族は、毎年冬になるとこたつで暖をとっていました。こたつは、この二世帯の大家族のコミュニケーション促進の場だったのです。しかし、奥様は家事やら何やらキッチンにこもることが多くて、なかなかこたつに入れませんでした。そして他の家族だけがこたつに入っていることに腹を立て、こたつを封印してヒーターに換えてしまったといいます。一見、恐妻話にとられがちですが、どの家庭でもそんなストレスがあるのかもしれません。
いまやキッチンのスタイルは様々です キッチンまめ知識〜レイアウトの考え方〜
オープンキッチンの次へ
そこで登場したのが、昨今主流となっているオープンタイプのキッチンです。これも時代から生まれた新しいキッチンの歴史のひとつなのかもしれません。このオープンキッチンは、今どきの奥様がキッチンで抱く孤独感などのストレスを解消しました。さらに、高価で高性能な光熱費の高い「3高」機器を導入することで、家事への負担と時間を劇的に軽減。キッチンも時代に伴って進化を続けています。理想のキッチンはどんどん高額化しつつ、その姿を現してきています。

ふと立ち止まると、現状では奥様の家事の分担割合が減っていないことに気付く(世の男性陣は、ギクリとしなかっただろうか?)。先に述べた調査データからも、共働きにもかかわらず妻と夫の家事関連時間の差は歴然。ここをうまく分担できれば究極なのかもしれない。

幸い、若い世帯の旦那様はキッチンに立つことに抵抗はないようなので、これからのキッチンは家族みんなが作業する空間へと変化していくのではないだろうか。今まで一人で使う仕様になっているキッチンも、2人用、3人用・・・なんてことになるかもしない。オープンキッチンからコミュニティの中心になるキッチンへ、キッチンはさらに進化を続け多様化していくことでしょう。そして、その流れを受けて、広いリビング思考から開放されるはずです。

もう物理的な機能やセオリー通りのキッチンでは、あなただけの理想のキッチンライフにマッチングするとは限りません。多様化する住宅事情と共に、キッチンも見つめ直す時がきています。
住まいの話題[211]執筆者
■越野 かおる(こしの かおる)/ kao一級建築士事務所

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