■住まいの話題[221]:ごみの行方−解体と再生−
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環境問題が私たち人類にとって、これから最も重要な課題となることは間違いないでしょう。不況が続く中で景気回復の原動力と期待される建設業界の前には、産業廃棄物の問題が立ちはだかっています。「ごみの行方」はいまや建築に関わる者だけでなく、すべての人にとって今後避けて通れない問題になると思います。
不法投棄とリサイクル法
建物を解体時にきちんと分別しないと、リサイクルできないごみ(混合廃棄物)となります。このような状態では、管理型処分場(俗にいう「埋め立て地」のこと)に持ち込まざるを得ません。そうすると、処分費用として非常にお金がかかります。だから不法投棄があとを絶ちません。

そこで、これをなくして再資源化を進めるための法律が建設リサイクル法です。ここで再資源化が義務付けられているのは、コンクリートと木くずです。RC造の建物を解体して出る廃棄物は、主にコンクリート・ガラと鉄筋などの金属スクラップで、これを重量ベースにすると約95%にもなります。コンクリート・ガラは道路用資材などに、鉄は溶かして再生できるので、今でもリサイクル率が高いといわれています。また、解体期間も数ヶ月あり、分別作業も広い敷地を利用して割合簡単にできます。

ところが、一般の木造住宅では短期間に解体しなくてはならず、敷地も狭いため混合廃棄物として処分するケースが大半です。また、接着剤と釘を併用した工法が圧倒的に多いため、リユースできる木材はほとんどありません。ちょっとした床鳴りを騒ぎ立て、見た目が綺麗なら張り物やプラスチック製品も大歓迎といった風潮が、これを後押ししています。
粉砕と再形成が繰り返し可能なリサイクルウッド リサイクルウッドを外壁に使用した建物例
どうすればいいの?
今までのような「できてしまったごみ」を処理するという考え方では、新しい時代のごみ問題は解決しないと思います。もちろん、ごみ処理技術の開発も必要ですが、根本的な解決にはなりません。使用済みの資源を処理して新しい材料・原料とするマテリアル・リサイクルや、使用済みの資源を化学反応により組成変換したものを利用するケミカル・リサイクル、廃棄物を焼却処理する際に発生するエネルギーを回収利用するサーマル・リサイクルなどの考え方は、今までの延長に過ぎないからです。

これからはその使命を終えても、ごみにならないものを作るシステムの開発、つまり、現在のごみが発生するシステムを変えていかなければならなりません。これは今まで私たちがやってきたことの方向転換であり、大きな意識改革を伴わないとできないことでしょう。これまでの考え方の積み重ねではなく、発想の転換なくしては、本当の解決策を見つけることは難しいと思います。
それぞれの立場で
「企業」は目先の利益の追求に縛られていてはいけないと思います。一度その呪縛から解放されるべきだと思います。企業が社会にポリシーをアピールしていく。そうすれば、消費者やユーザーもそんな企業の製品を選んでくれる。その結果として企業が成り立つ。そんな経済モデルを作り上げていく必要があると思います。

一方「ユーザー」は、例えば住宅の場合、高気密・高断熱・高性能といった「高」のつく住宅性能評価の呪縛から解放されるべきだと思います。安価な自然素材を使って複合材がない、構造・工法がシンプルな家。解体や材料の再利用が容易なことが大切だと思います。また安易な建て替えをせず、スケルトン(構造体)は長持ちさせて、インフィル(仕上材)を必要に応じて更新するといった発想も必要だと思います。さらに住宅以外では、ある時期にはコンバージョン(用途転換)といった建物の利用方法も重要なことだと思います。
住まいの話題[221]執筆者
■前川 信(まえかわ まこと)/ テクノフロント株式会社

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